学校・年齢・居住地・国籍・心身の障がいの有無を問わず、会員数を増やし続ける子ども会
さい子ども会
助成を受けた団体が助成金をどのように活用してきたのか、またその活動が地域にどのような影響を与えているのかを取材しました。岡山市中区で活動するさい子ども会代表(助成当時は育成会長)の泉明佳(いずみ あきよし)さんにお話を伺ってきました。(取材・文/高石真梨子)

子ども会
子ども会とは、地域の中で子どもたちが自分たちの思いをもとに、やりたいことを計画し、準備・運営する子どものための会です。子どもを構成員とする集団で、そこに指導者と育成者が加わることで子ども会が成立します。
活動内容はそれぞれの子ども会によって異なりますが、子どもたちが地域の異年齢集団の中で様々なことを経験し、学びを身につける活動を行っています。活動を通して自主性を身につけたり、異年齢の集団の中で人をいたわり、人の気持ちを大切にする優しさを養ったりする効果が期待できるのが特徴です。
岡山市では、「地域の子どもは地域で育てる」「地域の子どもは地域で守る」地域づくりの気運が高まっています。行政としても子ども会活動がより充実するための企画をおこなうなど、現在注目されている取り組みです。
さい子ども会

さい子ども会は、1975年頃に設立した岡山市中区 穝・穝東町(さい・さいひがしまち)の子ども・保護者を中心に、年齢や地域に関わらず誰でも入会できる子ども会です。2025年7月時点で子ども97名、大人47名の144名が「子ども達だけでなく保護者を含めた大人も一緒に楽しめる子ども会」「学校・年齢・居住地・国籍・心身の障がいの有無を問わない子ども会」を目指して、主に2つの活動をしています。
1つ目は、さい子ども会の活動です。
季節のイベントである新入生(新会員)歓迎会やクリスマス会、お別れ会などのほかに、奇数月の第2土曜日午前中に廃品回収を行っている定例事業、体験学習活動、地域の繋がりづくり活動である特別事業で構成されています。
2つ目は、地域団体の活動です。
ラジオ体操や地域のお祭りへの参加、宇野学区運動会への参加など、地域の行事に子ども会単位で参加しています。
8年間で会員数が4倍に増加しているさい子ども会

―約50年の歴史があるさい子ども会。泉さんが、活動に携わるようになったきっかけは何ですか?
泉(敬称略):私の長男が小学校に入学した2017年度から、さい子ども会で活動をしています。育成会長になったのは2019年度からで、以来2025年9月現在は代表を務めています。
我が家は長男が幼稚園年長にあがる直前の2015年度末に穝地区へ引っ越してきたので、小学校入学を機に同級生のお友達を作りたくて子ども会に入会しました。しかし、実際に入会してみると小学一年生の会員は私の長男だけで、会員数も20名ほどの小さな子ども会でした。
このままでは会員数の減少により子ども会がなくなってしまうという危機感もあって、2019年に会長に就任しました。
ただそれ以前も、1975年頃から子ども会はこの町内にあって当たり前の存在として、途切れることなく会自体は細く長く続いてきていたようです。

―2025年現在、会員数が144名と急増した理由を教えてください。
泉:地区にある家族向けマンションが建設されて数年経ちました。そこに住む子どもたちが小学校入学を迎えたこともあり、さい子ども会がある地域の子どもが増加したことが要因の一つです。
私が育成会長に就任した頃は、地区の子どもたちが通う岡山市立宇野小学校の児童のうち学区外から通う子を受け入れる程度でしたが、年々他校の子どもたちが増えてきています。
ただ、子ども会への入会は任意です。このような中でも会員数が増加しているのは、子どもたちが活動を楽しんでいるからだと思います。既存の会員が継続していることや、活動を楽しんでいる様子を見て入会してくれています。
また、保護者の負担が少ないこともさい子ども会の特徴です。入会者募集のチラシにも「役員の仕事は通帳と現金の管理のみ」と明示していますし、実際に会員の保護者からは「さい子ども会は保護者の負担が少ない」と声が上がっていて、その実感を口コミで広げてくれています。
もちろん、体験活動などでは保護者の協力が必要な場面もあります。このような場合は、その活動に参加する保護者のみに協力してもらうので、保護者も「自分の子どものためだったら……」と協力してくれるんです。

PTA活動などの中には、自分の子どもが参加しないにも関わらず役員の保護者が参加を求められるイベントもありますが、さい子ども会では自分の子どもに関係する協力のみをお願いしています。
その際には、共働き世帯やひとり親世帯など家族の在り方も変化してきているので、子どもも大人も無理なく活動できるよう工夫しています。
また、地区外に居住する子どもや障がいのある子、地区内に住んでいて私立や国立の学校に通う子どもも大歓迎です。現在も、会員の二割は地区外の子どもですし、特別支援学校や特別支援学級、校区の岡山市立宇野小学校の児童以外にも幅広い学校の子どもたちが活動に参加しています。
―近年、力を入れて取り組んでいる活動があれば教えてください。
泉:毎月第4日曜日の午後にさい公会堂にて開催している、子どもたちの居場所を解放する活動です。毎回、小学校中学年くらいを中心に20〜30名の子どもたちが遊びに来ています。
大人が用意するのは居場所と駄菓子とボードゲームのみです。子どもたちには150円分の駄菓子券と好きなお菓子を交換して、子どもたち同士で好きに居場所での時間を過ごしてもらっています。
また、不定期でおこなっている体験活動も、力を入れている活動です。
今まで、穝地区を飛び出して瀬戸内海にある犬島で星空観察をしたりゴミ拾い活動をおこなったりしました。
普段の居場所は仲の良い子どもたち同士で遊んでいますが、このような活動では中高生と小学生が一緒になって活動することもあり、子どもたちの成長を感じられます。中高生の子どもたちは、重い荷物を運んでくれるなど、とても頼りになるんですよ。
体験活動をおこなう以前は、下学年の子どもたちが喜ぶお楽しみイベントが活動の中心だったため、上学年になるにつれて参加率が下がって、部活動などが始まる中学校入学のタイミングで退会する子どもがほとんどでした。しかし、体験活動を取り入れたことにより、中学生以上の子どもたちも小学校に引き続き在籍して活動する子が増えて、より異年齢での交流が実現するようになっています。

見通しをもちつつ、パワーアップし続けた3年間
―子ども会として助成金を受けている団体は、大変珍しいと思います。福武教育文化振興財団の助成を受けようと思った理由を教えてください。
泉:子どもたちに、子ども会だからこそ経験できる楽しい体験(特別事業)をさせたいと思ったからです。
しかしながら、私たちの収入源は主に町内会からの寄付と廃品回収です。廃品回収では、古新聞や古雑誌、段ボールや牛乳パック、雑紙、アルミ缶を回収して、リサイクルセンターといった業者に販売したり岡山市の資源回収推進団体報奨金制度による奨励金(※1)をいただいています。。ただ、新聞を取る家庭が減り、折込チラシも少なくなってきた昨今、収入は減少しています。子どもたちに楽しい体験をさせたいと思っても、資金面で課題を感じていました。
体験事業を実現するための資金調達方法を探っていたときに、岡山市のつながる協働広場(※2)で福武教育文化振興財団の助成制度を知ったことが、助成申請のきっかけです。子ども会は年度単位で動いているので、助成申請の締め切りが一月末だったのもタイミングが良く申請に至りました。
参考資料
(※1)岡山市資源回収推進団体報奨金制度
(※2)おかやまNPO・ボランティアサイトつながる協働広場
―当財団の助成を受けて、良かったことは何ですか。
泉:希望していた特別事業をスタートできました。
2020年度は市街地と美星町での星空観察、2021年度は龍ノ口山付近のホタル観察や町内を流れる百間川につながる用水路で環境・水質調査とゴミ拾い活動を行いました。
その後も、子どもたちと行いたい体験活動に合った助成金があれば、積極的に申請し続けています。現在は体験事業だけでなく、子どもたちに居場所を解放する活動にも助成金をいただきました。

体験活動は宿泊を伴うものもあるので、普段見せないような真剣な表情やその子なりの成長を見つけるたびに企画して良かったと思います。
福武教育文化振興財団に限らず、子ども会という団体が助成申請をした前例はほとんど見つけられませんでした。私たちも手探り状態での申請でしたが、無事に採択していただいて活動に繋げられたことで、現在もさまざまな制度を活用しながら活動を継続できるようになりました。
―今後の目標を教えてください。
泉:今後、さい子ども会をどのように継続していくのかは課題です。
私が育成会長または代表を務めて7年目になり勤ますが、それは私の子どもが子ども会の会員なのでできることです。私の子どもが卒業した後に、会長を任せられる人や運営を担ってくれる人を探して育成せねばと思います。
子ども会の運営は「子どもが楽しそうに活動していることへのやりがい」という感情的なところで動いています。また、資金面も寄付や助成金に頼っているのが現状なので、自分たちの力で走っていくために人的資源や金銭面の制度を整えて次世代に繋いでいきたいです。
おわりに
自身のお子さんの登校時に見守り活動していたことが、子ども会活動に携わるきっかけとなったという泉さん。お子さんの同級生に障がいのある子がいたこともあり「学校・年齢・居住地・国籍・心身の障がいの有無を問わない子ども会」を目標の一つとしているそうです。
少子化、核家族化が進み、子育て世帯と地域の関係の希薄化が課題となるからこそ、地域での子育てが注目されている現代。会員数を増やしながら助成金の活用という新たな取り組みに挑戦しながら活動を広げるさい子ども会の活動は、ある種先進的な考え方の活動とも言えるでしょう。
これからの子ども会活動を考えていくうえのヒントが詰まった活動に、今後も目が離せません。

成果報告書も併せてお読みください。
https://www.fukutake.or.jp/archive/houkoku/2020_076.html
https://www.fukutake.or.jp/archive/houkoku/2021_015.html
さい子ども会
岡山県岡山市中区さい東町2-1-10
問い合わせ先
sai.kodomokai@gmail.com
https://sai-kodomokai.rin-net.org