地域学のススメ

日食を再現し源平藤戸合戦を観光資源に

一般社団法人未来創成学院・三宅範行さん

  • 知る
  • 2022.04.01

一般社団法人未来創成学院では、県内外の複数の高校の探究活動のお手伝いの他、探究授業現場の先生のお悩みを一緒に考えたり、探究活動をしてみたいという高校生個人に伴走したりしている。(三宅範行)

三宅範行さん

 地域を舞台にした探究活動では、高校生が地域に出かけて興味あるテーマを調査し、課題の解決方法を考える場面が多くあります。地元の方々とのお話を通して、高校生が自分を育んでくれた地元の魅力を再発見し、どれほど地域の方々に愛されているかも知る機会になっています。不登校・引きこもりの生徒がこの過程で明るさと自信を取り戻し、将来は地元に恩返ししたいと国立大学に進学したケースもあります。

 探究活動は高校生が劇的な成長を遂げる機会なので多くの高校生にチャンスをつかんでほしいと願います。そこで今年度は全国の皆様から寄付をいただいて探究講座を開講しました。在籍高校も様々で、高校生は各自のテーマに取り組んでいます。その中で源平水島合戦に着目して合戦当日の日食を再現しようとする高校生と、能「藤戸」で有名な藤戸合戦を観光資源にしたいという高校生がチームを作りました。

 折しも、福武教育文化振興財団様から高校生が自分で企画して申請すれば企画遂行を助成するとのお話を頂戴していました。高校生たちに投げかけたところ、全て自力で申請書を書き上げ、助成いただけることになりました。彼らは11月13日には源平水島合戦を体感するツアーを実施し、2022年2月6日には源平藤戸合戦の史跡を訪ねて能「藤戸」を鑑賞する企画を立てています。

 先般の水島合戦に関するツアーでは参加の皆様に温かい目で見守っていただき、感謝しております。企画実施したからこそ、至らぬ点にも気づけた学び多いツアーでした。感動や感謝、失敗など様々なことが若い感受性豊かな高校生の学びになっています。

参加者の受付をする高校生
船内で水島コンビナートについて説明
プラネタリウムであいさつ

活動テーマ:「倉敷市内で起きた源平合戦にまつわる観光ツアー2プランの実施」

●団体名:地域の魅力発掘委員会

●活動について
 「2021年11月に水島プランを実施、2月に藤戸プランを実施します。水島プランは、実際に戦いの地となった水島から玉島までを船で巡り、玉島地区の歴史愛好家の方にお話を伺った後、プラネタリウムで戦いの勝敗を分けたといわれている金環日食の映像を見る体験ツアー。藤戸プランは藤戸史跡保存会の方をガイドに迎え、藤戸の史跡を見学後、倉敷芸文館で行われる能「藤戸」を鑑賞するという日本の伝統文化に触れる観光プランです。新たな町の魅力を高校生らしい視点で発見し、若い世代が手軽に地元の歴史や文化、日本の伝統文化を学び、次の世代へ繋いでいく架け橋となるようなプランを考えました。」

勝まりなさん(倉敷古城池高校)
「歴史を繋ぐ大切さを学びました。これまで源平合戦の詳細を知りませんでしたが小中学生も同じだと思います。社会見学等に地元資源の「歴史」を組み込むことで次世代へ繋げられます。ぜひ案を活用してほしいです。ご協力いただいた地域の方々に心から感謝致します」

丸口天音さん(倉敷古城池高校)
「高校の探究学習の発展として今の活動に参加しました。今まで経験のないクルーズガイドなどの活動を通して地域の人の優しさに触れることができ、つながりの大切さを実感し、そのつながりを今後も大切にしていきたいと感じました」

吉田由良さん(倉敷古城池高校)
「得られたのはプレゼン能力の向上です。大勢の前で話す経験のなかった私が、今では効果的なプレゼンを考えることが楽しいとまで思えるようになりました。伝わった!と感じられた時の喜びは格別です。私の「好き」がみつかりました!」

尾崎光さん(岡山大安寺中等教育学校)
「活動全体を通して、地域課題を発見し、その解決策を考え行動を起こすこと自体の楽しさを知りました。一高校生の自分が大人のもとへ企画書を持って伺う、というのは、緊張と不安が大変大きかったです。けれど地域の皆さんはいつも真剣に話を聞いて下さり、その温かさを感じることができました」

尾崎光さん、吉田由良さん、勝まりなさん、丸口天音さん

(2022年1月25日 FUEKI No.77)