and F 教室体験記

活動資金の基本の「き」を学ぶ――活動を継続させるためには?

  • 知る
  • 2022.04.11

「地域のために活動したい!」という思いを抱いている人は少なくないでしょう。でも、その活動を始め、継続していくためには、お金が必要です。そのお金をどうやって調達するか? この、もっとも切実なテーマについて学びました。(取材・文/黒部麻子)

助成金や寄付金とは〈共感の連鎖〉……

講師は、公益財団法人岡山県文化連盟主任の高田佳奈さん。高田さんは、県内に2人しかいないという、認定ファンドレイザー(※)でもあります。ファンドレイジング(Fundraising)とは、ずばり資金調達のこと。非営利活動を行う団体が、活動資金を個人や法人、政府などから集める行為のことです。

問題なのは、「いい活動をしているだけではお金は得られない」という、厳しい現実です。こうした団体の収益構造は、通常の取引や商売ではない、つまり活動による受益者(サービスを提供する相手)から対価を得る形ではありません。そうではなく、「玉突き型」といって、支援者→団体→受益者という構造になっています。ここで言う支援者とは、財団や行政、寄付者などです。そこから助成金や補助金、寄付などの形で資金を得て、サービス提供は、おもに社会的弱者などに対して行われる。この仕組みをきちんと理解することが大事だと、高田さんは言います。

だからこそ、自分たちの活動の価値や意義をきちんと理解して説明していくことが重要です。そうした発信によって、興味や関心をもってもらい、共感してもらう。助成金や寄付金とは「あなたたちに託します」という、いわば共感の連鎖なのです。まさに、ファンドレイジングとは、「ファン(Fan)度レイジング」、共感者を獲得することなんですね!

そのために、「私たちの夢は○○です」といつでも言えるようにしておくことが大事です。組織の方向性を見失わないために、代表者だけでなく、組織全体で定期的に共有していってほしいと、高田さん。活動資金を集めることは、最終的には社会を変えていく手段でもあります。文化・芸術系の団体であっても、何かしら社会とのつながりを意識して打ち出していくことが大事だと言います。

最後に、どんな助成を活用したらいいのかとか、申請書の書き方のコツといった、個別の相談にも応じてもらえるとのこと。また、福武教育文化振興財団事務局長の小川隆正さんも「うちの方にも、こんなこと聞いていいのかな?ということでも気軽に相談してください」と言われていました。この日は、惜しくも今年度の助成は不採択になった団体の方も参加されていましたが、このように、採択・不採択で終わらず、継続して学んでいく機会が用意されていることは、とても心強いと感じました。

(2021年9月25日 fueki No.76号/開催日:2021年7月25日)

(※)認定ファンドレイザー=日本ファンドレイジング協会による試験に合格し、かつ有償での実務経験を3年以上積んだ者に与えられる資格。