「子ども歌舞伎」による地域文化の継承と子どもの居場所づくり
団体名:広野子ども歌舞伎
代表者:柿内穂 所在地:津山市 設立年:2022年 メンバー数:20名 助成年度:2023年度 教育文化活動助成
代表者:柿内穂 所在地:津山市 設立年:2022年 メンバー数:20名 助成年度:2023年度 教育文化活動助成
活動の目的
国の重要有形民俗文化財「田熊の舞台」があるように、当、広野地区は地下芝居と呼ばれる農村歌舞伎が江戸末期以来地域に根付いていた。田熊の舞台は、明治4年に田熊八幡神社境内に建造され、舞台中央に皿廻し型の回り舞台が設けられ、太夫座等もある本格的な舞台である。加えて、舞台奥の壁は、地域が展望できる窓が刳り抜かれ借景となっている。1975年に国の有形民俗属文化財として登録を受け、田熊八幡神社とともに地域に親しまれていた。しかし、平成17年5月の上演を最後に農村歌舞伎は上演されず中断されていた。このままでは、地域の伝統文化である農村歌舞伎が途絶え、地域芸能の文化が継承されなくなってしまう恐れがある。農村歌舞伎を復活継承させ地域住民と交流を図ること及び子どもの居場所づくりを目的として「広野子ども歌舞伎」を組織化した。国の指定50周年を迎えるにあたり、田熊の舞台で子ども歌舞伎の初演を行うこととした。
活動の内容及び経過
- 2023年1月、50周年記念事業を津山市連合町内会広野支部主催で実施決定。
- 50周年記念事業にて「子ども歌舞伎」を上演することを決定。
- 2023年6月、津山市立広野小学校において、奈義町生涯学習課の協力により子ども歌舞伎のプレゼンを実施。
広野小学校が全面的に協力くださり、小学生児童の参加者を募集、14名が参加。
- 2023年7月より、夏休みを利用した稽古を開始。放課後も集まって稽古を重ねた。
奈義町横仙歌舞伎から指導の応援を頂き、地域にお住まいの日舞家元からも所作等の指導を受ける。
- 10年以上も歌舞伎の上演を行っていなかったことから、鬘、衣装、小道具も横仙歌舞伎から借り入れ上演した。鬘の着装、舞台化粧、衣装の着付け等の床山も、横仙歌舞伎の協力を頂いた。
- 2023年10月21日、50周年記念事業において初演。
- 引き続き「広野こども歌舞伎教室」として活動を続ける。
活動の成果・効果
- 児童の間では、歌舞伎の稽古を通じて、共に協力し合うことの大事さを体験。加えて、農村歌舞伎という地域芸能や文化への関心を醸成できた。
- 地域の農村歌舞伎の経験者からも指導を頂き、また、地域の方々が小道具等を作成してくださったり、飲み物等の差し入れを頂く等、地域の大人との交流が図れた。
- 着物を着た時の所作等を、日舞の家元から学ぶ等、日本の伝統文化に触れた。
- 稽古及び、記念事業での上演成功を経験し、達成感及び自己肯定感が得られた。
- 参加した児童や公演を観た児童から、子ども歌舞伎をやりたいとの声が上がっている。
- 津山市(文化課、生涯学習課他)、津山市教育委員会、社会福祉協会他からも後援を得られた。
- この公演の成功を契機として、引き続き津山市教育委員会の協力を得て、広野子ども歌舞伎教室として、伝統文化の継承を図っていくことが決定している。
今後の課題と問題点
- 今回の稽古を通じて得た努力と協力の大切さ、自分も地域の一員であり、地域に貢献できるという経験や自己肯定感を維持させ更に強化させたい。
- 自分も地域を構成する一員である自覚と誇りを醸成する。
- そのために、広野子ども歌舞伎を「広野子ども歌舞伎教室」として組織化し継続的に活動を行い、加えて、地域に根差した文化や芸能(「浦安の舞」等)を復活継承していく。
- 継続的活動を行うため、鬘や舞台衣装、小道具等を自前で入手資金を獲得する必要がある。また、床山の育成等、大人の協力者や指導者を育成する必要がある。
- 教育委員会、学校と協働する地域連携のとれた組織とする。
- 定期公演を実施するため、国の重文であることを前提として、行政や地域と協力して回り舞台の保守点検の仕組みを構築する必要がある。