灘崎地域の歴史遺産(彦崎貝塚等)保存活用と後継者育成交流事業
代表者:田嶋正憲 所在地:岡山市 設立年:2011年 メンバー数:8名 助成年度:2023年度 教育文化活動助成
活動の目的
昨今は歴史ブームの再来であるが、灘崎地域の先⼈が紡いだ歴史遺産は若者の関⼼度が低くそのソリューションに特効薬はない。しかし、それ自体は、地域密着型の静かなる本物(実物)である。我らが語り部となりこの特性を継続的に活⽤しながら、埋もれた先覚者を掘り起こしつつ成果を冊⼦化することによってともに活動してきた次世代を担う若者へ継承することにより改善できると考える。情報発信とともに将来的にはデジタルリソース化も射程に⼊れ、共有化の強化も図る。さらに地域の園・⼩・中・⾼校、公⺠館、図書館、博物館、⺠間企業、⻘少年ボランティア団体等とコラボ事業を実施することで幅広い年齢層の参画が促進され交流と後継者育成にも期待できる。
活動の内容及び経過
親⼦体験教室は年5回実施した(4月・7月・8月・11月・1月)。また、歴史講座(5月・6月・7月・9月)では、会員が自ら講師となりスキルアップを図り、次世代継承を⽬指した。4⽉と11⽉にはふるさとまつり・公⺠館まつり、令和5年度企画展でボランティアガイドを⾏った。6⽉には灘崎中学校区の彦崎小学校で出前講座を⾏った。10⽉に公⺠館、同志社大学、岡山大学、広島大学と連携して彦崎⾙塚史跡指定15周年記念座談会を開催した。また、3⽉には、ボランティアガイドの強化を⽬指した⽂化財ウォークラリー(雨天中止)と文化展を開催した。新型コロナ禍で初めて体験したZOOMを活⽤した取り組みも積極的に実施した(6⽉、9月、11月)。10月・2月・3月に現地研修を行った。
活動の成果・効果
12年前から活動を行っている。参加対象は園児から⼀般にしている。活動は基本的に座学と実体験を両輪とした五感で歴史遺産を学ぶスタイルである。さらに有識者を招聘した講話と直接指導により受講⽣、我々会員や将来のリーダー候補たる若年層ボランティアグループのスキルアップも図ることができ、リピーターも増加した。引き出しの多い活動メニューの実践により世代間ギャップが解消されつつある。実物が真⾻頂である歴史遺産の活⽤は、埋もれた先覚者の発掘に繋がり、その新発⾒や気づきを冊⼦化して社会還元した。継続的に資料化を行うことは、次世代へ正確な情報を伝えていくためにももっとも有効な作業の一つであると考える。
今後の課題と問題点
全国的な傾向として高齢化と少子化が一層進むと考えられる。岡山県もその例に漏れない。その打開策のため新たな会員の確保が急務である。また、将来の継承者となる若者世代の人材も発掘する必要がある。ただ、今回、彦崎貝塚史跡指定15周年記念座談会を実施した時、若者世代に地域の遺産の認知度が特に低いことが露呈した。15年近く活動を行ってきた我々保存会の存在意義が問われる事態と考える。喫緊の課題は、会員、継承者の確保とオンリーワンの地域遺産の認知度を引き上げることである。新型コロナ禍やインフルエンザの流行で交流を余儀なく断たれた他団体や関連機関との連携も今以上に必要と考えられる。