地域の伝統文化を後世へ。持続可能な活動のための仕組みづくり

団体名:霜月祭実行委員会
代表者:入江正親 所在地:真庭市 設立年:2020年 メンバー数:8名
助成年度:2023年度 教育文化活動助成
  • 餅つき

活動の目的

余野の伝統行事・霜月祭が少子高齢化の煽りを受けて途絶える寸前に陥った。そこで、運営体制を見直し、従来の閉ざされた運営から、開かれた運営を目指す実行委員会を発足した。
昨年は試験的に年間行事を実施。地域の小学校と連携するなど、活動の輪を広げた結果、その運営に手応えを感じた。本年度はさらに輪を広げ、同様の活動を行いながら、将来にわたって継続的に自走できるための仕組みづくりに注力していく。
具体的には、田植え・稲刈り・餅つき・餅投げの年4回の行事を体験プログラムとして確立させ、地域外から参加してもらう仕組みを構築する。
まずは活動を広く知ってもらうことを目的とし、チラシの作成やSNS広告を活用する。また、プロカメラマンに撮影してもらい、それらの写真を用いてPR用の冊子を作成する。
さらに、体験プログラムの参加者を募るためのwebページを作成し、受け入れ体制を整える。

活動の内容及び経過

田植え・稲刈り・餅つきは余野小学校の授業とリンクさせ、将来を担う子どもたちに地域のアイデンティティとしての行事を体感してもらう。さらに、そこに地域外からの大人も関わることができるように受け皿を広げ関係人口も増やしていく。餅投げについては今までも地域の人が集まるきっかけになっていた。しかし餅投げが終了するとすぐさま解散していたので、滞在時間を伸ばすためにマルシェを実施し、本取り組みを知ってもらうためにPRを行う。これらの4回の行事を年間体験プログラムとして確立させ、地域外から参加してもらう仕組みを構築する。活動を広く知ってもらうためにチラシの作成やSNS広告を活用する。

活動の成果・効果

田植え参加者34名、稲刈り参加者27名、餅つき参加者47名、餅投げ・マルシェ参加者推定150名。余野地域の住民人口が約300人という観点からも、各行事への参加人数で見ると一定数の成果が得られている。同時に、各行事に地元ケーブルテレビを始め、新聞・民放放送局が取材に訪れ情報発信の部分でも成果を得られたと感じている。今回の助成金を活用してプロカメラマンを依頼し、行事中の生き生きとした活動写真を撮ってもらった。その写真をふんだんに使ってデザイナーに最終の報告冊子制作を依頼した。この冊子を関係各所に配布することで来年度の取り組みへの告知につなげている。本取り組みでは、小規模校であるが故に生じる余野小学校の課題、「多様な人との関わる機会の減少」を解決することに繋がり、さらに余野地区にある宿泊交流施設なつつばきを有効活用でき、複合的に地域の課題を解決することにつながっていると感じる。

今後の課題と問題点

田植えに関して、岡山大学教育学部の地域専修(県北プログラム)の学生が参加してくれたため、関係人口がひろがった。しかし、今回は大学側が調整をしてくれたため実現に至ったが、再現性に乏しい。さらに、田植え・稲刈り・餅つきは小学校行事とリンクさせているため、平日に実施することとなり、一般参加を募るにはハードルが高い。現に、体験予約サイトを開設したが、大学生以外の参加希望者は0であった。また、平日開催は従来の制度では地元の中学・高校との連携も難しく、余野小学生が卒業後に田植え・稲刈りに関わり続けることが困難な状況をつくってしまっている。さらに関係人口が広がると受け入れるための連絡や調整は現在の霜月祭実行委員だけでは難しく、外部人材へ事務局としての協力を依頼せざるを得ない状況となっている。

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