分身ロボットOriHime等の活用と今後の展望についての考察
代表者:山﨑好美 所在地:新見市 設立年:2020年 メンバー数:5名 助成年度:2022年度 教育文化活動助成
活動の目的
⾼齢者や障害のある児童⽣徒は、個々の特性から地域活動や社会参加に多くの制約がある。国が推進するsociety5.0により、AIやロボットの技術開発が進む中、分⾝ロボットOriHimeの存在を知り、2020年より教育活動に取り⼊れ活⽤している。障害の壁を乗り越えた社会参加を実現する可能性に⼤きな⼿ごたえを感じているが、教育現場ではコスト⾯や活⽤事例が少ないことからほとんど普及していない。昨年度に続き、ロボットを活用した教育実践の探求と地域での普及活動を目的に活動を行った。
活動の内容及び経過
〇キャリア教育フェア(岡山駅前広場)に参加・生徒会の生徒が会場へOriHimeを持っていき、学校に残った生徒が、教室から参加。(7月)
〇地域との連携・協力
・新見市内にある事業所と連携し、蒜山高原のひまわり畑への日帰り旅行を実施。(8月)
⇒ 前年度からコスト面に課題があり、さらに、OriHimeロボットの契約内容から、販売学習での活用が難しくなった。そこで、コスト面を抑えて、且つ、販売学習での活用ができる、新しいデバイスであるKubiロボットの試験運用を実施し、OriHimeロボットとの比較検討も行った。
〇高梁地域働くマーケットにKubiロボットで参加(12月)
・児童生徒が教室から、販売学習と地域交流に参加。
活動の成果・効果
OriHimeロボットの借用に関する規定から、販売学習での活用が難しくなり、活動内容を大幅に変更して実施した。
岡山駅前広場で開催されたキャリア教育フェアでは、生徒会メンバーのみ会場参加となったため、会場の本校ブースにOriHimeを設置した。人型ロボットのもつ親近感に魅了され、顔が映らないOriHimeの周りには自然と人が集まり会話がうまれ、教室からOriHimeを操作する生徒と、訪れた地域の方や他の支援学校の高校生と多くの交流ができた。会場参加の生徒の中には、初対面の方とコミュニケーションをとることが難しく、大勢の人が集まる場所に行くことができない生徒がいたが、OriHimeを通じて学校に残る友達に会場の様子を見せたいという他者を思いやる気持ちと、初対面の方とのやり取りはOriHimeを操作する友達が担ってくれるという安心感から積極的に会場内を回ることができ、大きな学習成果につながった。岡山駅前での活動で、多くの方との交流ができたことで、OriHimeの認知度アップにもつながった。
今後の課題と問題点
OriHime借用時からの課題となっているコスト削減が今後も課題であると感じている。12月には、コストの削減と販売学習での活用を解消することを目的に、企業の方の協力を得て、Kubiロボットの試験運用を実施し、OriHimeとの比較も実施した。大きな課題であったコスト面は大幅に削減されるほか、活用方法に制約がなく、操作も簡単で可動域が広いこともあり、活用の可能性は幅広く感じた。しかしながら、タブレットを活用したロボットのため、双方向に顔が見える一方で、人型の親近感が生まれにくいことや、サイズが大きく持ち運びやすさにやや課題を感じた。それらの点が地域交流を深める際にどの程度影響するのかといった検証も必要である。