実践型ユースワーカー養成講座の開催

団体名:一般社団法人SGSG
代表者:野村泰介 所在地:岡山市 設立年:2018年 メンバー数:4名
助成年度:2022年度 教育文化活動助成

活動の目的

ここ数年、子ども若者支援の重要性が叫ばれ、その方法論として居場所支援の在り方が注目を集めている。しかし、その多くは「貧困」「障害」など特定のターゲットに特化し、支援=救護にとどまってしまう傾向が強い。2020年頃よりこの傾向を改善するため、置かれている状況を改善に向かう力を社会全体で底上げする「総合社会活動」の視点で行うユニバーサルアプローチによる支援方法が注目されているが、この視点を持って支援にあたることのできるユースワーカーの数が少なく、支援の枠組みを用意してもその担い手が不足しているという現状がある。そこで新設する民間ユースセンターにおける伴走指導者であるユースワーカーとしてのノウハウを習得させるため、講義形式(オンライン併用)と実践形式(対面)で定期的に開催することにより、ユニバーサルアプローチ視点での新しい支援の担い手を養成する。

活動の内容及び経過

以下の活動を岡山市北区奉還町のSGSG事務所および奉還町ユースセンターで行った。岡山県外の参加者もいたため、オンライン形式を併用した。
①ユースワーカー養成講座(座学)の定期開催(土曜日開催)
1.ユニバーサルアプローチ概論、2.子どもとの接し方3.発達障害を持つ子への学習支援法4.居場所運営コンテンツ開発をテーマに毎月1回、3セットの座学講座を開講した。
②個別現場実践(平日含む随時開催)
居場所支援の現場で実際の子どもを前にした支援に参画する。内容は参加者それぞれ個別に設定し、ひとりあたり月に1~5回の活動を行った。
講師は、SGSG理事長の野村を進行役に、理学療法士の金谷佳和氏、東京で子ども支援を行う田邊来菜氏、起業教育を行う㈱ガイアックスの吉川佳祐氏にお願いした。

活動の成果・効果

ユースワーカー養成講座には、1年間で31人の申し込みがあり、ほぼ計画当初の目標通りとなった。参加者の属性は、大学生が85%、社会人が15%の割合で、大学生がユースワークに強い関心を抱いていることがわかった。
個別現場実践では、⑴発達障害の子に対する学習支援⑵高校生自主活動企画の伴走⑶ユースセンターにおけるユース世代向けカフェの運営⑷支援ニーズを探るためのアウトリーチ型リサーチの運営⑸ユースセンター改修ワークショップへの参加など多岐に渡った。
参加者は、作成したチラシによる応募がほとんどであった。ボランティア情報をまとめている、ゆうあいセンターにチラシを置かせてもらったことが非常に有効であった。
当取り組みは、岡山県外からも注目され、名古屋市、京都市、兵庫県尼崎市、広島県福山市、鳥取県日南町、愛媛県宇和島市の行政およびユースワーク関連団体の視察を受け入れた。

今後の課題と問題点

企画自体は多くの注目を集め、参加希望者も多かったが、4か月を1つのタームとして継続して参加するスタイルは、講座としての参加ハードルが高かったようであった。1ターム通して参加できた人数は、全参加者31人のうち、16人と約50%にとどまった。一方、1タームすべて継続参加できた参加者のうち、約22%にあたる7名は、2023年度も引き続き、SGSGの活動に参画する意思を示している。
これらの結果を踏まえた上で、参加者の熱量に応じたプログラムの設定を今後の課題としたい。具体的にはユースワーカー養成のプログラムを、1回の講座で完結するライトなものと、しっかりと長期間関わることのできるものの2本立てで行い、参加のミスマッチを防ぐようにしていきたい。

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