多様な考え方や生き方に触れ、自分の将来の生き方につなげる
代表者:三澤敏之 所在地:玉野市 設立年:1941年 メンバー数:160名 助成年度:2022年度 教育文化活動助成
活動の目的
日比中学校では、学校教育⽬標「⾃⽴貢献〜夢をもち、⾃分で考え判断し、⾏動できる⽣徒の育成〜」の実現に向け、すべての教育活動においてキャリア教育の視点を取り入れ、1⼈1⼈の社会的・職業的⾃⽴に向け、基盤となる能⼒や態度を育てる取り組みを行っている。今年度、福武教育文化振興財団のご支援をいただき、「社会人の話を聞く会(1年生)」、「だっぴ(2年生)」、「平和学習(2年生)」、「人権講演会(全校)」などの活動を計画した。社会人や大学生、地域住民、被爆体験者、性的マイノリティの方など、さまざまな人々との交流を通して、生徒が多様な価値観や生き方に触れ、自分の視野を広げ、将来の生き方を考える機会にすることを目的とした。
活動の内容及び経過
1年生が実施した「社会人の話を聞く会12月2日(金)」は、玉野市内の事業所から社会人の方に来ていただき、生徒がインタビューする活動を行った。事前に各事業所の業務内容を調べ、質問内容を考え当日を迎えた。事後には、学んだことをまとめ、グループごとに発表会も行った。2年生は「だっぴ10月21日(金)」と「平和学習1月24日(火)」を行った。県内の大学生10人、玉野市内に勤める社会人と地域の大人20人、本校2年生56名が5人〜6人のグループになり交流した。「平和学習」では、広島平和記念公園を訪れ、梶本淑子さん(14歳で被爆)から、平和の大切さとともに人としてのあり方についてご講和いただいた。12月9日(金)には、一般財団法人JCMA吉井奈々さんの「幸せの多様性~幸せのカタチはみんな違っていいんだよ~」という講演会(全校)を行った。
活動の成果・効果
様々な活動を通して、多くの生徒が新たな刺激や学びを得ることができた。生徒の感想の中にその様子が見られるので紹介したい。「全教科を大事にするのが大切」という話があった。その理由が「自分の可能性を広げるため」だった。得意、不得意があるけど、どの教科もしっかりがんばろうと思った。(社会人の話を聞く会)」
「今まで生きた中で失敗したことや後悔したことを引きずっていたけど、『人生はまだこれからだ』と気づいた。そして今日から自分に自信を持って生きていきたいと思った。(だっぴ)」
「私は原爆が恐ろしいものだということを改めて知ることができた。特に梶原さんの話を聞いて、人の痛みがわかる人になること、自分の命を大切にすること、そして原爆のことをまわりの人に伝えることが大切だと学びました。(平和学習)」
「私は、今まで嫌なことを言われたりしても、笑って自分の気持ちをごまかすようなことをしていたけど、今日の話を聞いて、嫌なことは嫌と言っていいんだと思いました。これからはごまかさないで生きてみたいと思います。(人権講演会)」。生徒の振り返りは、学校通信などで紹介し、生徒、保護者、教職員で活動の意義を確認することができた。
今後の課題と問題点
様々な活動の後、生徒が学んだことを文章で表現したり、プレゼン資料を作成して発表会を行ったりして学習のまとめをすることができた。しかし、校外への発信という面では、不十分だったように感じている。生徒にとって多くの学びのあった取り組みを、生徒自身が保護者や地域に発信していく活動を行うことで、学習への取り組みや成長の姿を応援してもらうことができたのではないかと考える。また、そのことが子どもたちの学びを深め、自分の自信となり、次の学びにも繋がっていくのではないかと考える。次年度以降、学んだことを積極的に校外に発信していく活動を取り入れていきたい。助成のおかげで、講演会などの経費のかかる活動を行うことができたが、次年度以降も継続していくためには、予算の確保が課題である。