文化芸術活動の拠点づくり
代表者:東りえ 所在地:玉野市 設立年:2018年 メンバー数:30名 助成年度:2021年度 教育文化活動助成
活動の目的
2020年3月に玉野市市民会館が閉館となり、玉野市には、文化を発表し、楽しむ場所が無くなってしまった。これは文化芸術を楽しむ人たちだけの問題ではなく、玉野市で育っていく子どもたちの非認知能力の教育面からも大きな損失だと考える。市民の中には、市民会館のように稼働率の悪い箱モノは不要と言われる声もあり、現在も新しく建設するという計画を耳にすることはない。そこで、当会は2018年設立来、①文化芸術の拠点づくりを考える活動、②人をつなぎ、交流の輪を広げる活動、③文化芸術を心豊かに楽しむ活動の三本柱を基本理念として活動してきた。2021年度は、市民会館がなぜ必要と考えるのかということを具現化するために、市外の文化施設を視察し、拠点施設建設の具体的な取り組みや進め方を学ぶとともに、文化的イベントを深山イギリス庭園と御前八幡宮で開催した。また市民会館が不要であるという意見にも耳を傾けながら、文化を継承していく場のあり方を考えていくことを目的とした。
活動の内容及び経過
- 高梁市成羽美術館を視察するとともに、元高梁市長で成羽美術館長だった秋岡毅氏に美術館の建設に至るまでの経緯や資金集め等の実例を聞く会を開催し、建設を進めていくための方法を学んだ。
- 深山イギリス庭園内にStageを作り、市内の高校生と市民の有志が朗読劇を披露、市内の吹奏楽やオカリナのグループが音楽を演奏、バルーンアートの方が出演し老若男女が楽しめるイベントを開催した。
- 市民会館に関心のない市民の方々に向けて、地元で本物の文化を楽しむ「町じゅうどこでも市民会館」を立ち上げ、「上方落語玉野リボン寄席」を市内の御前八幡宮で開催した。
- 3月に、2018年から現在までの活動を紹介するリボン活動記録展を市立図書館前広場で開催した。
- リボンの会の主旨と活動理念・事例などを記したミッションパンフレットとリボンのロゴを制作、広く市民の方々に目にしていただける広報資料を作成し、リボンの会のPR活動を活発化した。
活動の成果・効果
成羽美術館訪問では、元高梁市長で美術館長の秋岡氏に、建設に向けて市民の思いを一つにされた経緯や資金集めなど、苦労話をお聞きすることができた。玉野でできることを考えるヒントになった。
毎年開催している深山イギリス庭園の事業は、地元の高校生が企画の段階から参加。市民有志の方々と朗読劇を発表するなど、楽しく開催でき、約500名を超える来場者の方に参加していただいた。
町じゅうどこでも市民会館とリボン活動記録展は今年度初めての事業だった。前者は御前八幡宮でプロの落語家の寄席を楽しむ企画で、地元から大勢参加され大いに笑っていただいた。アンケートでも「落語を間近に聞けて楽しかった」「八幡宮もいいが便利な市民会館で聞きたい」などの意見があった。
リボン活動記録展は、2018年からのリボンの活動の、市民に向けた活動を写真で紹介する記録展。
この記録展でリボンの会のミッションパンフレットや新しく作ったロゴを紹介することもできた。
今後の課題と問題点
2017年3月、玉野市の文化の拠点であり多くの市民から親しまれてきた、玉野市総合文化センター及び玉野市文化会館が同時に閉館となり、2020年3月、玉野市市民会館が代替の計画もないまま閉館となった。これらの事実が、市民の記憶の中で薄まっていくことが第一の大きな課題である。また、さらにはこの状況に慣れ、文化施設がない環境に順応し、「生活の中で文化創出の場の必要性や意義を感じない」と認識する市民が増えていくのではないかと思うことが第二の課題である。事実、市内で長年活動してきた文化団体が幾つか、団員の減少・高齢化、活動拠点を失うという問題を理由に、休止・解散の危機が迫る状況になっている。玉野市では今まさに文化の存続が厳しい現状が山積している。また、コロナがいつ終息するともわからない状況下、感染対策とか社会状況を判断しながら、活動の歩みを止めないための士気を高め、モチベーションを維持することの難しさも大きな課題になっている。