将棋を通して、礼儀や思いやりの心、負けてもたくましく生きる力を育む

団体名:一般財団法人 岡山県青年館
代表者:牧野康平 所在地:岡山市 設立年:2017年 メンバー数:7名
助成年度:2020年度 教育文化活動助成
  • 感染予防対策を徹底し月1回開催
  • 棋力に応じた対局試合
  • プロ棋士による貴重な指導対局
  • 岡山県こども将棋教室交流戦を開催

活動の目的

日本に根付く将棋の文化は子どもから大人まで幅広い年代で親しまれ、その人気は近年更に拡大しており、将棋を学べる場所が必要とされている。こうした趣旨に基づき開催しており、子どもたちの将棋の上達のほか、将棋を通じて人として大切な心を学ぶ場としている。人と人との対局によって、挨拶をはじめとした礼儀作法や言葉遣いなど表面的なことに加え、相手を敬うことを自然と意識することができる。対局に勝った人は相手に不快感を与えないマナーを意識し、負けた人は、負ける経験から自己の弱い所を認めることで成長し、たくましく生きる力を育むことができる。この活動では、礼儀や相手への思いやりの心を学ぶ機会となることを目的とする。

活動の内容及び経過

今回、岡山県内の将棋教室に通う子どもたちを対象とした「岡山県こども将棋教室交流戦」に、子ども将棋クラブも共催という形で開催の運営に携わった。交流戦への参加は、他の教室の子どもたちと対局を行うことで、同クラブの参加者が普段以上に緊張感をもって将棋の対局に挑み、力試しをする良い機会となり、同クラブで学んだ姿勢を発揮する場になった。開催にあたり、大山康晴十五世名人の話「良い道具を持て」から、「良い駒や盤を持ち、大事にすることで将棋に対する知識が深まる。同時に自分自身の心も磨かれていき、将棋も上達する。」とあるように、道具へのこだわりが将棋に対する真摯な姿勢につながるよう、参加者に良い道具を提供した。

活動の成果・効果

第20回岡山県こども将棋教室交流戦は、新型コロナウィルスの影響で当初令和2年11月3日に予定していたものを繰り上げし、令和2年8月9日、10日の2日間、2会場(岡山県生涯学習センターと山陽新聞社)に分けて開催。岡山、倉敷市など9教室の生徒が参加し、棋力に応じてS級(有段者)からD級(初心者)まで5クラスに分かれて対局した。参加者108名のうち子ども将棋クラブからは27名が参加し、C級・D級で4名が上位入賞を果たしたことから、子ども将棋クラブの活動が上達の手助けになり、着実に実力をつけてきていることが窺える。対局前・対局後には相手へ挨拶を欠かさず、準備や片付けを自主的に行う子どもの姿も見られた。

今後の課題と問題点

1つ目は、将棋を通して礼儀や思いやりの心を育む活動は、個人によって成長度合いが異なることや成果が見えづらいことが難しい点である。回を重ねるごとに周囲の子どもと仲良くなる半面、慣れから挨拶をはじめとしたケジメがつけられなくなりがちである。
2つ目は、個々の実力を伸ばす点で、参加者のうち初心者が8割であることから、なるべく分かりやすい講座解説を心掛けているが、経験者にとっては簡単すぎるものもあり、レベル設定が難しいことである。
3つ目は、子どもの集中力やモチベーションをいかに保つかという点である。開催頻度が月1回(年間登録)のため将棋に触れる機会の少ない子どもは習得に時間を要するなど問題が挙げられる。

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