18トリソミーの「虎ちゃん」による高校生との対話の会、「てんでまんで読書会」
代表者:木多希子 所在地:岡山市 設立年:2019年 メンバー数:11名 助成年度:2020年度 教育文化活動助成
活動の目的
「HOME18岡山」は、当事者、つまり18トリソミー(※1)や13トリソミーの診断を受けたお子さんとファミリー、プレファミリー(妊娠中の方)、子を亡くしたファミリー(流産・死産の方を含む)の思いに耳を傾け、当事者家族間、医療・福祉の現場、地域社会との橋渡しをすることを目指している。
当事者や関係者だけでなく、地域社会で暮らすいろいろな人に、「18っこ」「13っこ」(※2)や広義の「医療的ケア児」、「亡くなった子」、「その家族」に対して、まずは周知し関心を持っていただくことが、「多様な人が暮らしやすい社会作り」につながると考えている。
※1通常は2本である18番染色体が1本増え、3本1組のトリソミー(三染色体性)になることで起こる先天異常症候群。エドワーズ症候群とも呼ばれる。出生児3,500〜8,500人に1人の頻度で見られる。さまざまな合併症など全身の症状があり医療の助けなく長期生存することが難しいため、治療方針の判断が難しく、家族を含め関わる全ての人に「生きる」ことについて考えさせる疾患と言える。
※2「18トリソミー」や「13トリソミー」にもいろいろあり、トリソミーだけでなくモノソミーやフルモザイクなど、多様な方への親愛の情を込めたこのような呼び方がある。
活動の内容及び経過
◎7月・8月:当事者間のオンライン懇親会。
◎2月2日:映画『うまれる』学校上映会(清心女子高等学校)
◎2月9日:18トリソミーの「虎大くん」による講演・対話の会(清心女子高等学校)
虎大くんのご家庭(東京)と清心女子高等学校の教室(倉敷)をオンラインでつなぎ、授業を行った。事前に虎大くんが出演する映画『うまれる』を鑑賞した上で、生徒の感想や質問を虎大くんのご両親へお送りし、当日はそれにこたえていただくという形で実施。
◎3月20日:「てんでまんで読書会」(ヨノナカ実習室・オンライン)
ヨノナカ実習室(岡山市北区)からオンラインで事前予告で興味を持ってくださった方(含・当事者)を繋ぎ、自由に語り合った。
- 当事者や協力者はブログや口コミ、チラシの配付・掲示(病院や福祉事務所、保育園など)にて随時募集。
- 当事者間の情報交換はSNSグループにて随時実施。
- 当事者メンバーに「写真展の掲示物や冊子原稿の素材(写真やデータ等)」を収集・蓄積しておくよう随時依頼。
活動の成果・効果
◎「18トリソミーの虎ちゃん」講演・対話の会
生徒の感想は「18トリソミーをこの授業で初めて知った」「18トリソミーの子どもやご家族と初めて出会った」「自分の生き方について考えさせられた」「自分が生きていることが当たり前ではないことを知った」「障がいがある人と街で会ったら、今まではどうしたらいいかわからなかったが、話しかけていいのだということが分かった」「自分が知ったことを家族や友だちにも教えたい」など、前向きなものだった。
◎てんでまんで読書会
本は『ぼくのおじさん』(アーノルド・ローベル作/三木卓訳)を使用。参加者の感想としては「共通の興味のある話題に興味のある人たちが、年齢、地域、障がい、特性を超えて交わる姿に、心が揺り動かされた」「多様な方が集い、一つのテーマについて『てんでまんで』に考える素晴らしい時間となった」といったものを受け取った。
これらの取り組みはいずれもオンラインで直接対話をしたことで、当事者はもちろんのこと、当事者でない参加者にとっても、自身の世界が広がるような得がたい体験の場となった。したがって「地域社会との橋渡し」「いろいろな方に周知し、関心を持っていただく」という目的を果たす効果が十分にあったと考えられる。
今後の課題と問題点
新型コロナウイルス感染拡大防止のために企画の延期・改変が余儀なくされている。上記のようなオンラインを用いた挑戦も含め、持続可能な仕組み作りが必要である。