笑いの伝統文化・狂言を学び、玉野の歴史を創作狂言で紹介
代表者:斉藤章夫 所在地:玉野市 設立年:2012年 メンバー数:10名 助成年度:2019年度 教育文化活動助成
活動の目的
玉野しおさい狂言会発足当初の問題意識は、玉野市のルーツ産業ともいうべき製塩の歴史や文化が市民から顧みられることは、非常に少ないと感じていました。また、玉野市の文化に対する取組や意識は、極めて低いというのを実感していて、これら二つの課題を同時に解決できる方策が中々見つからないのが実情でした。
そこで、玉野のルーツ産業ともいうべき製塩にまつわる歴史・文化・産業・人物などを、狂言という日本古来の伝統芸能を使って、笑いながら学び笑いながら伝える活動を行いました。この活動を通じて、しおさと(塩づくりの里)玉野の様々なものがたりを語り継ぎ、玉野が文化度の高い健康的な町になり、多くの市民にしおさと玉野への愛着を深めてもらうことを活動目的としました。
活動の内容及び経過
私たちは、塩田時代の塩づくり・浜子などのほか、当時に起こった出来事や活躍した人物などに焦点を当てた新作狂言を作ってきました。演じるに当たっては、プロ狂言師の指導を仰ぎ技量の向上を図ることによって、舞台に上がり人に見せる演劇として恥ずかしくないものに仕上げることを目指しました。また、市民センターなどで公開練習を行い、普段から市民に開かれた形で稽古を行うことによって、少しでも親しみを持ってもらうようにしました。古典狂言は、毎年4月に演目と配役を決め、5月から練習を開始していますが、今年も同様の手順を取り、「狐塚」「文山立」「末広かり」の三曲を選び、それぞれに練習を重ねました。
新作狂言については、昨年と今年の2年に亘ってしおさと玉野がいかにして今のような形になっていったのかそのルーツを作ったともいうべき、宇野港土地㈱の創立者・宮原秀一及びその父・豊の人物像や業績を採り上げ、「しおさとのあけぼの」(前編)及び(後編)を創作しました。昨年は(前編)として父・豊が玉塩田を開発するなどの業績を取り上げ、今年は(後編)として玉塩田を三井物産に譲ったほか、日比町長・日比町会議員として玉野市誕生にも功のあった息子・秀一に関する業績を取り上げ、しおさと玉野のあけぼのを狂言の台本として創作しました。
創作するに当たって留意したことは、観る側も演じる側もいかに楽しい時間を共有することができるかということでした。歴史の時代背景とか当時の様子を事細かく狂言の中に織り込めば、歴史の流れがよく理解できるとは思いますが、これらを全てセリフに入れようとすると物語りが長くなり、歴史の講義みたいになって楽しい狂言を観るという感じからは程遠くなります。ということで、最初に作った台本を皆で叩き、教科書的なセリフは削ぎ落とし10回もの改正を経てやっと創作狂言として披露できるところまで漕ぎ着けました。8月に第1稿ができ、所作を伴った練習を重ね、最終稿ができたのは公演直前の12月のことでした。
1月13日(月)荘内市民センターにて、何と250人満席のお客様に万雷の拍手を頂き、会員一同大満足することができました。3月2日に予定していた後楽園開園記念日公演は、新型コロナの影響により直前に中止を余儀なくされました。
活動の成果・効果
今回の「しおさとまつり」を観て、玉野の歴史やルーツをより深く知りたいと思う人がたくさんいることが改めてよくわかりました。しおさとまつりへのリピーターも多く、狂言の町・玉野、しおさと・玉野が益々面白くなってきていることを実感することができました。
今後の課題と問題点
若い人の入場者・参加者が少ないことが今後に向けての課題と考えます。