永瀬清子現代詩賞募集に県内応募者が増加、保存活動に注目が集まる

団体名:NPO法人 永瀬清子生家保存会
代表者:横田都志子 所在地:赤磐市 設立年:2005年 メンバー数:30名
助成年度:2019年度 教育文化活動助成

活動の目的

永瀬清子が提唱した「詩を書くよろこび」とは、詩作によって自分を知り、自他を励まし、共感を得て生きる力となることをいう。これを伝えるために、岡山県下において永瀬清子現代詩賞の作品集が容易に手に取れる状況を創出することで、現代詩への関心を高め、詩作により県民の思いが地域から発信される社会を目標とする。地元の注目を集めることで文芸に親しむ県民文化の向上を図り、現代詩賞への岡山県内からの応募者を増し、永瀬清子への関心を高めることで、永瀬清子生家保存活動への理解者を増やす。

活動の内容及び経過

岡山県立図書館の協力を得て、県下約100館の市町村及び大学の図書館へ作品集を寄贈し、手に取りやすい状況を創出、併せて、永瀬清子現代詩賞募集のチラシ配置を依頼した。また、プレスリリースにて地元媒体の取材誘導を行うとともに、「公募ガイド」、「登竜門」、本会のSNSなどWEB上の広報も活用して広く募集した。(第四回募集2019年2月17日〜4月17日/第五回募集2020年2月17日〜4月17日)
第四回募集には460作品の応募があり、2019年5月23日審査会を行い、入選作30作品と永瀬清子現代詩賞受賞作を決定した。
また、永瀬清子生家や岡山市北区国体町にて、映像「きよこのくら」や、永瀬清子の生前映像の上映会を行い、永瀬清子の詩とその功績、生家への関心を高める活動を行った。
永瀬清子現代詩賞の第四回作品集への寄稿文を、清子と交流のあった詩人・谷川俊太郎氏へ依頼し、永瀬作品の魅力や人柄について伝えてもらった。ハンセン病者を支える活動の縁から、俳優・竹下景子氏からの寄稿も得るなど、詩賞や作品集の魅力を増すことに努めた。
2019年11月17日には生家にて永瀬清子現代詩賞表彰式を行い、第四回作品集を発行した。表彰式には全国から入賞者の出席もあり、報道取材など注目を集めることができた。
2020年2月17日の永瀬清子命日には一時途絶えていた「紅梅忌」を再開し、墓参とともにやむなく解体した蔵の跡に紅梅を植樹し、永瀬清子の生前の映像の上映会も行い、永瀬清子を慕う人々の集う場となった。またその前日には赤磐市主催の「永瀬清子の詩の世界」が開催され、参加された多くの方がイベント前後に生家の見学に訪れた。講演会の若松英輔講師も見学に訪れて保存会活動の意義や詩賞募集への参加をSNS等で発信いただき、永瀬清子と生家の改修・保存の重要性について関心を集めることができた。

活動の成果・効果

第四回現代詩賞には全国から460編の応募があり、岡山県内からも43編の応募に増加した。(前回36編)
また、永瀬清子生家改修・保存活動への関心を呼ぶことにつながり、赤磐市へ2019年11月に請願提出・2020年2月に1437筆の改修・保存を求める署名を提出することができた。
2020年2月3日から開始した、永瀬清子生家の改修・保存費募集のクラウドファンディングには多くの注目が集まり、支援金が集まっている。(4月24日まで募集)

今後の課題と問題点

映像「きよこのくら」上映会などの広報で、関心を集めることにはつながったものの、具体的に詩作のきっかけとなる取り組みである「詩作講座」などが実施ができなかったため、岡山県内の応募を3倍にする当初目標は達成できなかった。詩作講座の担い手の検討とともに、詩に親しむ企画を検討していく必要がある。
永瀬清子の月命日毎月17日の生家清掃活動や、普段の生家見学など気軽に参加してもらう場を工夫し、永瀬清子やその詩作、生家を身近に感じてもらう企画を検討することが今後の課題である。

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