岡山の障害者アート全県公募展「第2回きらぼし★アート展」開催

団体名:きらぼし★アート展実行委員会
代表者:阪本文雄 所在地:岡山市 設立年:2016年 メンバー数:13名
助成年度:2018年度 文化活動助成

活動の目的

岡山県内の障害者たちの芸術作品を紹介。作家の社会参加を進め、支援の輪を広げる。

活動の内容及び経過

「輝く星を探して—岡山の作家たち」をテーマに、2018年9月29日から10月5日まで旧内山下小学校(岡山市北区丸の内)で開催。岡山県の行政、福祉、文化団体など官民あげた「オール岡山体制」により障害者の芸術文化活動を展開しようと、岡山県、県教委、県文化連盟、岡山市、県知的障害者福祉協会、旭川荘、山陽新聞社会事業団などをメンバーとする実行委員会が実施主体となった。
7月23日〜9月4日までの募集期間に県内の個人や障害者施設、支援学校などから294点の応募があり、1次審査の結果選ばれた66点(絵画44、造形22)が展示された。作品と同時に募集した来場者プレゼントの「缶バッジ」デザインには184点の応募があり、大小の2サイズ、計5点が選ばれた。会場には福祉関係者以外の美術ファンらも来場。ふせんに感想を書き、掲示板に貼り付ける「星のつぶやきコーナー」は、最終日には掲示板をはみだし会場案内図まで埋め尽くした。
会期中、障害者アート作家が会場に設置した布や壁に直接絵を描く「ライブペイント」を開催。新潟、広島、鳥取で障害者アート作家の発掘や活動支援に先進的に取り組む団体、施設のリーダーを招いた創作支援セミナーも開かれ、県内の福祉施設職員や特別支援学校教諭らが聴講した。
入賞作品を備前焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)伊勢崎淳氏ら県内外の専門家5人が審査。最優秀賞となる「きらぼし大賞」に岡山東支援学校高等部2年岡本大貴さんの作品「馬」を選んだほか、造形賞2名、絵画賞1名、新人賞1名が選ばれた。缶バッジデザイン採用者には「缶バッジ賞」が贈られ、表彰式で表彰状と記念品が手渡された。表彰式終了後、展示作品すべてを収録した図録を制作した。
また、プレイベントとして8月12日、フランス国立現代芸術センターのパトリック・ギゲール館長、大森雅夫岡山市長、石川康晴・ストライプインターナショナル社長が意見交換するシンポジウム「美術館を核にした文化の町づくり」を開催。ギゲール館長は基調講演で文化・芸術施設を核に世界から人が集まるイベントを通して情報発信しているナント市の取り組みを紹介。シンポジウムでは岡山市での美術館、芸術劇場を核にしたあり方について話し合った。障害者の絵画、造形の作品を常設展示している美術館の開設についても「多くの人が交流する美術館として市街地に」という考えがギゲール館長から示され、活発な議論が多くの聴衆を楽しませ、障害者の文化芸術への理解も深まった。

活動の成果・効果

岡山県内で独自に創作活動をしていた作家が次々と見いだされている。作品展示や図録により作品は県内外の障害者アート支援者らの目に触れ、岡山からフランス・パリのアール・ブリュット作品展へ招待される作家も現れた。

今後の課題と問題点

アート展と併せて開かれた創作支援セミナーや、同展実行委による県外先進地(新潟、鳥取、広島など)視察により、岡山の障害者アート支援の遅れが浮き彫りとなった。他県にはアート作品の常設展示施設や、創作展示や活用のための相談窓口組織が設置されている例もあり、作品を生かした商品化、店舗への作品貸出など経済活動も活発になっている。入賞者の支援者や保護者からは、就労や進学など作家の今後の生活と創作との両立に悩む声も聞かれた。作品展示の機会もまだ十分といえない。

PDFアイコンPDFで見る