現代劇+ミュージカル+狂言が融合した新たな表現を後楽園能舞台で

団体名:おかやま演劇サロン
代表者:角野功一 所在地:岡山市 設立年:2014年 メンバー数:44名
助成年度:2018年度 文化活動助成

活動の目的

本申請活動は狂言、現代劇、ミュージカルという異なる表現法をミックスさせ、新たな演劇表現法を生み出す試みである。能舞台は従来日本の古典芸能である能や狂言の舞台として設営されたが、その他の利用法としては日本舞踊や詩吟、文楽など日本の古典芸能に限定されてきた。本申請活動において実施される狂言と現代劇、ミュージカルのミックス公演ではこれまで日本の古典芸能に限定されてきた能舞台の利用法を新たに掘り起こし、狂言においては新たな表現法を、現代劇、ミュージカルにおいては新たな公演場所の提案を果たすものである。また、本助成活動成果である公演を果たすことにより、岡山県の魅力を県内外に発信し、地域住民には岡山の魅力を再認識させることも目的の一つである。

活動の内容及び経過

再建60周年を迎えた後楽園能舞台において後楽園夏の幻想庭園の一企画として狂言・現代劇・ミュージカル融合劇「空を飛んだ男と雲の上のお殿様」を上演した。公演に当たっては前年にあたる2017年10月から企画を立ち上げ、2018年4月から参加団体それぞれで各パートの練習を開始した。2018年5月28日に参加者全員が初顔合わせを行い、以降6月24日、7月22日、8月4日、8月5日、8月12日、8月19日の計6回合同練習を行った。合同練習以外の期間には田賀屋狂言会、劇団ひびき、みゅーじかる劇団きんちゃい座のそれぞれでパート練習を行った。公演当日は公演本番が夕刻からであったこともあり、当日は朝から会場である後楽園能舞台において会場設営を始め、午後からゲネプロを行い最終確認を行った。今回の公演では新しい取り組みとして従来能舞台では利用しない足場を組んでの照明や音響を導入し、ピンマイクの利用も行った。舞台下に反響用の甕を置く構造となっている能舞台においては導入した音響の反響も一般的な舞台とは異なるため、音響の調整にはかなりの時間を要した。

活動の成果・効果

公演は会場の最大容量である170名余を全て満席とするなど、想定以上の観客動員数を得た。また当日は夏の幻想庭園期間であったこともあり、県内の観劇者はもちろん、スペインからとおぼしき外国人観光客の姿も散見され、様々な観客層を得た。公演においては日本古来の伝統芸能である狂言の新しい表現法、BGMの導入や他の表現方法であるミュージカルや現代劇との共存法が提案できた。また、演劇・ミュージカル分野においても能舞台という新しい表現の場が提供された。能舞台においては足袋の着用が絶対条件としてあげられるが、それ以外の制約は存外に少なく、能舞台の新たな活用法の糸口を得た。そして観劇していただいた観客には岡山の魅力を再認識させることができ、岡山県の魅力を県内外に発信することができた。

今後の課題と問題点

公募により子どもの出演者を募ったが、参加者は6名にとどまった。いずれも参加団体関係者の直接の声かけにより得た参加者であった。公募に当たってはラジオや新聞記事において呼びかけたが、これらのメディアへの掲載は効果を上げていない。
公演までの準備においても参加団体全体のスケジュール調整に難航し、全体練習の機会が限られた。また、公演当日においては能舞台には冷房施設がなく、今夏の酷暑の影響もあり、観客の中には体調不良を訴えた人もいた。

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