大型紙芝居、岡山空襲の写真パネルの制作、岡山空襲体験者の話のDVD化
代表者:内田順子 所在地:岡山市 設立年:2015年 メンバー数:20名 助成年度:2018年度 教育活動助成
活動の目的
岡山空襲から70年以上が過ぎ、岡山空襲があった事実も薄れつつある。私たち岡山市退職女性教職員の会の有志で結成する「むらさき花だいこんの会」では、3年前から子どもたちに平和の大切さや命の尊さを考えるきっかけにして欲しいとの願いから、岡山空襲を語り継ぐ「出前平和教室」を実施してきた。しかし、授業で使用する資料(紙芝居や写真パネル、焼夷弾のレプリカ等)はすべて岡山空襲展示室などからの借用物品で、施設が使用するときには借用不可となり、小学校などからの依頼に応えられないことがあった。そこで、自前の資料を制作し、活動範囲を広げたいと願い教育活動助成を申請した。
活動の内容及び経過
この度、助成をいただけたので、まず、7月には大型紙芝居「コッペパンの思い出」の制作ができた。「コッペパンの思い出」は、1945年当時国民学校の6年生だった主人公が岡山空襲に遭ったときの実体験を書いた絵本を紙芝居にしたものである。
夏休みには、岡山市内小学校からの依頼に基づいて図書館開館行事に出向き、この紙芝居を使って小学校1年生から6年生児童を対象に「出前平和教室」を実施した。新しい紙芝居は主人公が自分たちと同じ小学生ということもあり、児童にとって分かりやすく、しかも身近に感じられるものだったので、とても真剣に聞いてくれた。そのことは私たちにとってもやりがいを感じられたものになった。
さらに、2学期以降の小学校中学年対象の「出前平和教室」は、この「コッペパンの思い出」の紙芝居が大いに役立った。
この紙芝居の制作は、今まで高学年児童を対象に行ってきた「出前平和教室」の対象を広げるとともに、私たちの活動の幅をも広げることになった。
活動の成果・効果
一方、「出前平和教室」では岡山空襲を体験された方に同行して貰って、その時の話を語っていただくようにしているが、今年度はその様子をビデオに撮り、助成金でDVDの制作も計画した。平和教室でのビデオ撮りは半年ぐらいかかったが、8名の方々のお話を収録できたことは、大きな収穫であった。体験者の方々は、皆80歳を超えており、出前授業で体験をお話ししていただくのも難しくなってきつつある。待ったなしの状態であったので、生の証言が映像とともに収録できたことは、本当に嬉しく今後の活動にもしっかり生かせるものと期待している。しかも、3セット制作できたので、同時に複数の場所での「出前平和教室」の開催も可能になった。これから、しっかり活用したいと考えている。
また、私たちの活動について、岡山空襲の写真資料提供者からの賛同が得られ、版権の使用料が低額で認められたので、岡山空襲の写真パネルも12枚制作することができた。「出前平和教室」の実施にとても重要な要素を占める写真資料が自前で制作できたことは、これからの活動にとって大きなプラスである。資料が借りられなくて断念せざるを得なかった活動も今後はできるからである。
DVDや写真パネルは、残念ながら今年度の活動には間に合わなかったが、来年度以降の活動に有効活用できるものと期待している。
このように、自前の資料が揃い、活動の範囲や期間もより自由度が増したので、今まで小学校や児童クラブが活動の中心だったが、これからは岡山市内の公民館へも積極的に働きかけをして、岡山市民を対象にした「出前平和教室」の開催にも取り組んでいきたいと考えている。
今後の課題と問題点
しかし、今回是非制作したかった焼夷弾のレプリカは、制作費が高く(約30万円)制作することができなかったのが、非常に残念である。
また、より多くの小学校での開催を目指してチラシの配布などのPR活動をしているが、まだまだ一部の小学校に留まっており、なかなか広がっていかないのが課題である。