赤ちゃんが先生 学校で命や家族、生きる力を感じる授業
代表者:辻祥恵 所在地:岡山市 設立年:2017年 メンバー数:2名 助成年度:2018年度 教育活動助成
活動の目的
赤ちゃん先生プロジェクトは、母親と子ども(0〜3歳)がペアで、教育機関や高齢者施設などに赴き、赤ちゃんとのふれあいを通して命の奇跡、未来への希望を感じてもらう「命の授業」である。教育機関向けには、抱っこから重さや体温を感じるふれあいや、母親が子育て中のうれしいことや苦労、家族への思いを話すなどで記憶に残る授業を実施してきた。今回は小中高と異なる年代で赤ちゃん先生を実施し、それぞれの成長段階で子どもたちの生きる力づけ・感じる力づけに寄与することを目的とする。
活動の内容及び経過
岡山県立倉敷天城中学校、真庭市立木山小学校、岡山市立岡山後楽館高等学校で赤ちゃん先生クラスを開催。
活動の成果・効果
倉敷天城中学校ではピアサポートクラブの生徒(1〜3年生の縦割り)が中心となって参加、赤ちゃんとのふれあいから自分自身の成長を感じ、コミュニケーションにおいて相手を尊重し、思いやることを目的として開催された。異年齢の交流によって子育ての大変さを知り、生徒自身がお世話を経て成長してきたと実感した様子があった。「泣く」で表現する乳幼児に対して、想像力を働かせることの大切さを感じた生徒もいた。
木山小学校では5・6年生を対象に家族そのものを授業で取り上げる機会が少ないとのことで、家庭科授業の一環として(特に6年生は中学校進学前に自身の成長と親への感謝を感じることを目的として)開催。児童の感想からは「かわいかったけど、力が強くて驚いた」、先生の講評では「乳幼児との接触経験がないひとりっこの生徒が、赤ちゃんと積極的にふれあっているのを見て、意外に感じながらもその生徒の新たな面を知ることができた。どの生徒も赤ちゃんに丁寧に接していて表情がよかった」とあった。
岡山後楽館高校では「保育」科目履修生徒を対象に開催(保育系・福祉系に進学する生徒が主)。近隣のこども園で保育実習したうえで、実際の子育ての話を母親から直接聞き、同時に子どもと母親の愛着関係を間近に感じることを目的とした。生徒から「子どもはかわいい」「子育てはたいへん」と大きく2つの感想が出た。先生の講評では「生徒がじかに子どもにふれあい、ひざにのせたり抱っこであやす様子を見られたのがよかった。また母親の生の声をきくことができたのもよかった。子どもはただかわいいだけでなく、子育ては夫や家族の協力も大切なポイントであることを理解した様子もある」とあった。
今後の課題と問題点
主要な開催先となる教育機関に赤ちゃん先生のよさを知ってもらうことがまず必要だと感じた。命そのものである赤ちゃんとのふれあいから子どもたちの感じる心を引き出すことができ、成長には保護者などの時間をかけたお世話が必要であり生徒自身がそのことを気づく場として、各開催校での評価は好評だった。ただし岡山県内での知名度は低く、当該プログラムに基づく赤ちゃん先生と、他で開催されている主にボランティアによる赤ちゃんふれあい事業との違いを明確にする必要がある。また、子どもは日々成長するので、活動する人材の確保も必要と感じた。
活動資金を助成金や補助金だけでなく、今後安定的な活動のために、どのように獲得するかも課題として残った。