県内の中学生および高校生が多数参加するロボットコンテストを開催

団体名:公益財団法人科学振興仁科財団
代表者:加藤泰久 所在地:里庄町 設立年:1986年 メンバー数:15名
助成年度:2018年度 教育活動助成

活動の目的

ロボットは人工知能、IoT(InternetofThings)、ビッグデータなどと並んで第4次産業革命の中核となる技術である。しかしながら、近年、日本の将来を担う子どもたちが自ら手を動かして電気・機械工作をおこなう機会が減少している。そこで、県内の中学生および高校生を対象としたロボットコンテスト(ロボコン)を開催し、工作の機会を提供する。

すでにさまざまなロボコンが各所で開催されているが、工作施設がそれほど充実していない中学や高校の生徒が気軽に参加できるロボコンは少ないのが実情である。この問題を解決するために、比較的簡単な課題を設定して手作りロボットで参加できる大会を開催し、技術のすそ野の拡大を狙う。

里庄町出身で「日本の現代物理学の父」と称される仁科芳雄博士は、大学では物理学ではなく電気工学を学んでいたことから、仁科博士の顕彰事業として開催する。

活動の内容及び経過

9月2日(日)午前9時から午後4時30分まで里庄中学校体育館でロボコンを開催した。このロボコンは生徒自ら製作したロボットを操作し、制限時間3分以内で競技規則に従ってアイテムをゴールに運びその得点を競う大会とした。中学校から17校45チーム、高等学校から9校18チーム、合計26校63チームの参加を得て、盛大な大会となった。大会当日の運営においては、当財団の職員のみならず里庄町教育委員会事務局職員ならびに参加校全校の教諭も携わった。

大会に先立ち、競技規則を決定するために、県内の有識者3名で構成される審査委員会を2月3日と2月24日に開催した。これをもとに開催要項を作成し、4月1日に県内の中学校・高等学校に送付し、さらに仁科会館のホームページでも公開して参加を募集した。大会運営の詳細やロボコンポスター図案を決定するために、運営委員会(審査委員と大会参加校教諭を代表する運営委員数名で構成)を5月12日と7月28日に開催した。8月25日に参加校全校の教諭が参加する最終打ち合わせ会を開催し、競技規則および運営について意思統一をはかった。審査委員会・運営委員会・最終打ち合わせ会はすべて仁科会館で開催した。

大会終了後に「ロボコン2018記録集」を作成し、参加校をはじめとする県内の中学校・高等学校に配付するとともに、国立国会図書館・岡山県立図書館・里庄町立図書館に寄贈した。また、仁科会館のホームページにロボコン大会の結果やレポートを掲載した。

活動の成果・効果

ロボットを製作する過程で電気・機械工作に触れることで、将来の日本の科学技術を担う世代の育成に資することができた。具体的には、本大会に参加した生徒たちが技術を蓄積することで自信を深め、より高度な技術が要求されるロボコン大会、例えば「全国中学生創造アイデアロボットコンテスト」や「全国高等学校ロボット競技大会」へ出場したり、電気・機械系の大学・企業に進学・就職したりするなどの成果が上がった。

また、ロボコンポスターの図案は、県内の中学生および高校生を対象としたコンテストで募集し、66作品の応募があった。このコンテストにより美術分野への波及効果もあった。

ロボコン大会当日は、一般客が自由に観戦できるようにするとともに山陽新聞に依頼して「さん太号外」を会場で印刷・配付した。後日、RSK山陽放送と笠岡放送に大会の模様をテレビ番組で放送していただいた。これらにより、ロボコン参加者に限らず、より多くの人にロボットの魅力を感じてもらうことができた。

今後の課題と問題点

このロボコンの知名度はまだ十分高いとは言えず、参加校が限られているという課題が残っている。より多くの学校から参加してもらい、さらに技術のすそ野を広げていきたい。

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