日本初演のオペラを上演することで岡山から全国に発信
代表者:加治郷子 所在地:岡山市 設立年:1994年 メンバー数:11名 助成年度:2017年度 文化活動助成
活動の目的
トロヴァトーリは、従来の日本のクラシック声楽の価値観にとらわれず、お客様のエンターテイメントのみを追求することを目的とし結成、観客と一体になれる作品作りを目指してきた。日本の伝統芸能である古典落語をオペラにすることにより、日本文化と西洋文化の融合を図り、オペラの持つ娯楽的要素を伝える。
オペラでしか表現できない声楽のアンサンブルや、オペラの楽しさを味わってもらい、クラシック声楽の魅力を伝えると共に、落語に触れる機会のなかった人にも落語を知ってもらうきっかけにもなり、豊かな情操を養うと共に地域の文化向上により役立てる。
落語オペラシリーズとして古典落語を脚色し、芝居的要素をふんだんに取り入れた作品にして上演することで、子どもからお年寄りまで幅広くオペラを楽しんでもらい、身近に感じてもらう。本邦初演のオペラを上演することで、岡山から全国に発信していけるような公演活動を行う。
活動の内容及び経過
第1部:赤坂町在住の噺家、雷門喜助氏による古典落語「宿屋の仇討ち」
第2部:落語オペラ「宿屋の仇討ち」脚色・台本・作曲/松井和彦
今回の公演が本邦初演。
古典落語の「宿屋の仇討ち」では、登場人物はお侍(万事世話九郎)・宿屋の番頭(伊八)・宿屋の女中さん(おやど)・魚河岸の若者(源兵衛・清八・喜六)の6名であるが、オペラでは3人のコンパニオン(メロン・イチゴ・バナナ)を登場させることで、ミュージカルに用いられるレビュー(歌と踊りを主体としたショー)的要素を取り入れ、音楽にはクラシックの様式によるアンサンブルに加え、ジャズやロックなど軽音楽のリズムや旋律を用いることで、それぞれのアンサンブルを楽しく聴かせる作品に仕上げた。
キャスト/万事世話九郎:多田康芳、番頭(伊八):松本敏雄、女中さん(おやど):桑原直美、源兵衛:加治郷子、清八:川西顕、喜六:森本誠、コンパニオン:(メロン)栗木深香・(イチゴ)乙倉寧子・(バナナ)須賀さやか
アンサンブル/ピアノ:文裕理、パーカッション:中田拓也・仲渡智夏・福里祥一朗
指揮・演出/松井和彦演出/加治郷子照明/青井史子(オールライツ)
衣裳協力/児玉恵子道具協力/蜂谷和久舞台進行協力/浦西朔制作協力/企画on岡山フライヤーデザイン/小津彩華
2017年2月中旬より音楽稽古を開始する。3月中旬より指揮者による音楽稽古及び立ち稽古開始。5月6日(土)瀬戸公民館において衣裳合わせ及び仕上げリハーサル、7日(日)京山公民館において通し稽古を行う。5月11日(木)より会場入り。仕込み及びホールでのリハーサルを行う。5月12日(金)18時30分開演14日(土)14時開演会場:西川アイプラザ。
活動の成果・効果
第1部に噺家による古典落語を上演し、第2部に同じ作品をオペラで上演したことによって、静かに聞くことを強いられるクラシックコンサートとはちがう、オペラの堅苦しさを感じさせない作品になり、今までのオペラの概念を覆すことが出来た。ステージだけでなく客席を使い、観客を巻き込んだ演出で観客は舞台と一体になり、話の内容を身近に感じてもらえ、笑いや拍手も多くもらえた。特に子どもたちに楽しんでもらえた。
昨年の公演「目黒のさんま」が好評だったため、リピーターも多く、口コミで更に新しい観客動員が出来た。2日間で計352名の入場者があり、土曜日の公演は満席だった。また公演後、ケーブルテレビでも2度放送され、多くの人に観てもらうことが出来た。
今後の課題と問題点
地方都市では集客が難しい上、ステージ・客席共に上演に適したホールが少ない。音楽(指揮・ソリスト・オーケストラ)、舞台(演出・美術・衣裳・照明)等、芸術のあらゆる分野の統合により創り上げる総合芸術のオペラは舞台製作に多額な経費がかかるため、日本の多くのオペラ団体は公演収入だけでは賄えない現状にある。企業からの助成や協賛金に頼るしかないが、出来るだけ経費をかけない舞台の工夫が必要である。
また、これまで公演した新しい作品を、県内の他の地域や、県外などでも広く公演していきたい。そのためにも、オペラに精通したスタッフの確保が必要である。