和太鼓演奏をとおして地域の伝統文化の継承と振興に取り組む

団体名:応神太鼓保存会・童
代表者:平井千春 所在地:笠岡市 設立年:1986年 メンバー数:23名
助成年度:2017年度 文化活動助成

活動の目的

昭和61年に地域文化と郷土芸能を育てることを目的に「保存会」が設立、その後平成3年には「童」の部が誕生して以来、和太鼓演奏をとおして、地域の伝統文化の継承と振興に努めている。設立当時10名だった「保存会」が諸事情で演奏活動を中止したが「童」を卒業したメンバーが「保存会」の意思を引き継ぎ、現在は「保存会」と「童」が一緒に活動をしている中、メンバーは23名に増えた。
年間25回程度の演奏依頼を受けているが、長年使用している太鼓が破損したことにより、演奏活動に支障が出た。今までに何度か自費で破損修理を行ったが、今回破損修理を一度に3台することになり、会の運営資金のみでは高額となる。太鼓の革の破損と胴の修理を行うことで、以前にも増して地域に根ざした演奏活動を幅広く行うことにより、地域文化に貢献することを目的とした。

活動の内容及び経過

*H29.11.26「日本舞踊と和太鼓」(笠岡市民会館)<藤峰会主催>を「発表会」の目標にしている

活動の成果・効果

現在笠岡市は、人口の減少と高齢化が進んでいる中で、行政は地域の活性化に向けた取り組みに努力している。特に「子育て支援」を充実させ、住みよい街づくりを目指している。そうした中和太鼓演奏をすることで、子どもたち自身が「日本の文化」に興味関心を持つことが出来た。また、演奏活動をとおして、実際に地域の人たちに直接触れることで、子どもたち自身が「自主性」や「協調性」を養い「表現力」や「集中力」を身につけることにも繋がった。
また、和太鼓をとおして、日本独自の「礼儀」や「作法」を身に付けることも出来、現在失われつつある日本の伝統文化を受け継ぐといったことにもつながっていくことになった。このことにより、子どもたちの変化は、保護者自身の意識をも変えることになった。親自身が子どもの見本となるようになり、地域を知ることで、地域に貢献するという意識の変化が見られるようになった。子どもたちが、学区を超え様々な地域から集まっていることや、異年齢の集団であることで、上の子が下の子への助言や面倒を見ることで、子どもたち同士の繋がりが深まり、親同士も繋がることが出来た。親の中には、自分自身の子育ての悩みを先輩の親に聞いてもらったり、わが子以外の子どもに接し面倒を見ることで、親子関係の改善にも繋がった。子どもの中に、障害を持つ子がいるが、子どもたちや親、地域の人たちに認められ、本人も自信を持って演奏活動を続けている。
地域行事に参加することで和太鼓に興味や関心をもってもらえるようになり、幼稚園の先生にも積極的に太鼓の実技研修を受講してもらったり、小学校の「地域の伝統文化の魅力に迫る」という授業の中で児童に直接太鼓の演奏体験をしてもらったりした。また、中学校の文化祭でも発表するなど「学校教育」にも広がったり、市内の2つの公民館講座も開設されるなど「生涯学習」へも広がりつつある。
一団体が地域や社会を変えるといった大きなことは出来ないが、自分たちの演奏が地域の「希望」や「元気の源」に繋がり、地域文化に貢献するならこの上ない。

今後の課題と問題点

地域の人口減少と高齢化に歯止めが利かない状況がある。若者が出て行き、少子化現象の中で、後継者を増やし維持継続していくということが難しい状況にある。
最近は「音」の問題で、練習場所が限られるようになった。地域の中で「防音」の部屋は市内に一箇所しかなく、練習日時の工夫が必要になってきた。
また、練習日や演奏依頼やイベントがどうしても土日に限定されることが多いので中学生や高校生になると「部活」の練習や試合で継続できなくなり辞めてしまう子どもがいる。継続したくても、学校の課題提出と練習や演奏活動の両立というところで悩んでいる者もいる。演奏活動をしている子どもも学校行事や部活・塾など日程調整にはかなり苦労をしている。まして、社会人にもなると勤務時間や休日が合わないことが多くなり、練習や演奏活動に参加できないのが現状である。地域の行事やイベントの出演依頼は来るが「卒業」「進学」「就職」といったそれぞれの節目を迎えるにあたり、後継者の育成が本会の大きな課題となった。

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