日本の伝統文化としての書道を学び、外国に人に紹介する活動
代表者:森熊男 所在地:岡山市 助成年度:2017年度 教育活動助成
活動の目的
本校は教育目標として『21世紀のグローバル社会を豊かに生きる子を育む』ことを掲げ、国際理解教育、英語イマージョン教育に力を入れている。しかし真の国際人になるためには、まず自国の文化についてよく知り、日本人としてのアイデンティティを育てることも大切だと本校では考えている。
小学生のうちから「日本文化・伝統に親しみ、学ぶ活動」を行い、日本に来た外国の人に紹介することによって、将来日本の各分野のリーダーとなり国際的に活躍するとき、誇りを持って自国の文化伝統を発信できる人材を育てる目的がある。
また「日本文化・伝統に親しみ、学ぶ活動」を行う中で、児童の内面に豊かな人間性を育み伝統文化を守り伝えていこうとする気持ちを高めること、職人さんが減っていく中、多くの人が感心を持つことで地域文化を掘り起こし、文化の維持発展の一助を担うことも目的としている。
活動の内容及び経過
第1学年平成29年6月30日(金)2・3時間目
書道に使う用具の名前・使い方、そしてその一つひとつには様々な種類があることを体感して学んだ。
- 固形墨と墨液の違いを理解できるよう、講師が硯に水を入れ固形墨を擦り、墨液となるところを観察。龍の模様や漢字が入って彩色してある色々な固形墨(中でもいちばん古い墨は1916年に奈良で製造されたもの)を見たりさわったりして学んだ。
- 筆は、色々な動物(羊・山羊・馬・鳥等)の毛で作られていて、用途に応じて長さ・太さ・やわらかさが異なる筆を使うことを、実物を見たり、違いを実感するためにさわったりしながら学んだ。
- 硯・文鎮は、形・大きさ・重さもいろいろあることを、実物を見ながら学んだ。硯は中国製造品と岡山県勝山産の高田硯など、実用硯と観賞硯(美しい飾りが彫ってある物)を見せていただいた。
- 紙は半紙・半折(はんせつ)・全紙(ぜんし)・2×6尺、2×8尺など、さまざまなサイズのものや、色・柄のついたものなどいろいろな種類を紹介してもらった。
これらの用具を、4班に分かれ実際にさわって、重さ・質感・匂いを確かめながら順に体験した。
最後に、一人ひとりが今日の感想を発表したが、「いろいろな種類があることにおどろいた。」「作るところを見てみたい。」「早く書道を習いたい。」と、書道に大変興味関心を持った様子だった。
第2学年平成29年5月8日(月)5・6時間目
奈良の『株式会社墨雲堂』さんより、墨作り職人さんと講師の方2名が来校され、墨の作り方について教えていただいた。児童は事前学習としてDVD『奈良墨の今〜未来につなぐ伝統文化を守るために〜』を視聴。予備知識を頭に入れて、墨作り体験に臨んだ。
- 児童は職人さんが実際に墨を量り、練る様子を見学。珍しい道具におどろいていた。
- 児童は2グループに分かれ、1グループが墨作り体験をしている間、もう1つのグループは膠(にかわ)、香料、松やになどをさわったり、匂ったりしながら原料について学んだ。
体験の後、児童はこの体験から学んだことや感想、感謝の気持ちを、職人さんへのお礼の手紙に書いた。
全員が墨作りを体験し、養和書道院さんが児童の作った握り墨を保管。3年生になったら書道の時間に使う予定になっている。(お礼の手紙は、学級だよりを参照。)
第2学年平成29年6月23日(金)
オーストラリアのブロードビーチ・ステイト・スクールより30名の児童が来校した。2年A組では、クラスに来た6名と書道を体験。1年生・2年生の書道体験で学んだことをもとに、英語で道具や書道文化について紹介した。象形文字を使った漢字クイズなどを楽しんだ後、実際に書道にチャレンジした。
外国の方に書道について伝えるということで、児童たちは改めて書道という文化について考え、今までの体験を振り返ることができた。また、発表できるように自分たちで英語の説明を考え、ネイティブの先生に英語を添削・指導していただいて、上手な英語でスピーチを行うことができた。
初めて『日本の文化を外国の人に紹介する』ということに挑戦した児童たちの顔は満足げであった。
第3学年平成29年11月6日(月)
秋の遠足も兼ねて津山市の上田手漉和紙工場へ行き、紙すきの体験をした。
津山市教育委員会も協力を申し出て下さり、紙すきの過程を収録したDVDを貸してくださったので、児童は事前学習をして臨むことができた。
3年生は初めて見る道具に目をきらきら輝かせながら取り組み、「紙すき職人になりたい!」という子がいるなど、紙すきに大変興味を持ったようすだった。できあがった和紙も届き、手作りの墨で書くことを今からとても楽しみにしている。
第3学年平成30年3月3日(土)
学習発表会にて、3年生は研究発表という形で岡山の文化・名所について調べ、英語で発表した。
『ExploringOKAYAMA』というタイトルで、『後楽園』『うらじゃ踊り』『吉備津彦神社』『桃太郎祭り』『岡山のスポーツ(ファジアーノ岡山など)』『西大寺観音院』について発表した。
2年生で書道文化について英語で紹介した経験があるため、全員が自信を持って発表できた。今5学年では海外語学研修としてオーストラリアに行き、現地の小学校と文化交流をする予定なので、今後は岡山の文化を広げて、日本文化について発表できるようにしたいと考えている。
今後の課題と問題点
まだ3学年までしか児童がいないが、今後4年生の『筆作り』、5年生の『篆刻作り』、6年生の『掛け軸作り』の実現に向けて、指導を請け負って下さる業者の選定、連携を進めていかなくてはいけない。
オーストラリアの小学校は現在2校とつながりがあり、2年後は5年生がどちらかの小学校を訪問し、日本文化を紹介する予定である。継続して文化交流ができるよう、計画をたてていきたい。
どの体験も児童がとても前向きに取り組み書道に興味を持ち始めたため、アフタースクールの書道講座も人気が高く、書道コンクールでの実績も高い。今後もこの実績が続くよう、児童が興味・関心を抱く取り組みを行ったり、今までの体験をさらに充実させたりしたい。