NPO法人EDGE(エッジ)会長 藤堂栄子氏 講演会「ディスレクシアでも活躍できる」
代表者:石原訓子 所在地:岡山市 設立年:2012年 メンバー数:52名 助成年度:2017年度 教育活動助成
活動の目的
読み書きに困難のある子どもたちは、早期に学習に躓きやすく、「頑張ってもできない。自分は馬鹿だ。ダメな人間だ。」と考え自信を失いがちである。また、学習から取り残されていくために、自分が望む進路を歩んでいくことが難しい。
そうした子どもたちが適切な教育を受け、自信を持ち、望む進路を歩んでいけるために、読み書きの困難について正しく理解するとともに、好事例を元に、読み書きの困難がある子どもに必要な教育は何か、子育てで大切にしたいことは何かを学ぶ。
活動の内容及び経過
講演の内容は以下の通りである。
①ディスレクシアについて。
ご自身の経験を引用したり、参加者で疑似体験をしながらわかりやすく学んだ。ディスレクシアは、人口の10%はいると言われている、知的に遅れはないが、読み書きに著しい困難がある。全く読めないのではなく、読みの速度が遅い、流暢さ、正確さの困難。書くことについても、読みの困難さに起因するところが大きい。生まれつきのもので、治療できるものではない。読み書きの困難は不便ではあるが、不幸ではない。補う方法さえ身に付ければ、学ぶことができる。
②本人が困ること。
本人が困ることは、頑張ってもできないことに対し、自分がダメな人間、馬鹿だと思ってしまう。先生の話はよく理解でき、答えもわかるのにテストを読み書くことができないために正当な評価を得られないことへの不満があったり、評価してもらえないことで、益々自信を失ってしまいがちである。また、読み書きに大変なエネルギーを使うために、疲れやすい。
保護者や支援者は、ディスレクシアはなかなか気づかれないことが多いため、気づかないうちに本人を傷つけてしまったり、合わない支援をしたり、いつかできるようになると信じて訓練ばかりさせたりしてしまいがちである。
③理想の学校。
ディスレクシアの人が提案した理想の学校についてお話しいただいた。
- 就学時、小学校中学年、中学入学時など、何度かアセスメントを受けられるようにしてほしい。
- 学び方が違うのだから、そのスタイルにあった学び方を考えてほしい。
- 多感覚で学ばせてほしい。
- 苦手な部分を補う方法(マインドマップやタッチタイピングなど)を教えてほしい。
- すべての教員に、ディスレクシアの教育を学んでほしい。教員集団の中に、一人でもディスレクシアの教員がいるといい。など。
④成功しているディスレクシアの人たちの共通点から見えてくること。
ご自身のこと、息子さんのこと、エッジで関わってきたディスレクシアの当事者の方々の生き方を見てきて、生き生きと暮らしているディスレクシアの人たちには、以下のような共通点があるとお話しいただいた。
- 自分を知ることが大事である。自分を知れば、能力の生かし方が見えてくるし、苦手をカバーする方法も見つけることができる。
- 好きなことを大切にしている。それがどんな風に仕事に生かせるかを考え、仕事にうまく結びつけている。
- 読み書きの能力以外のことで勝負している。
- 自分を認めてくれる人が一人いる。
活動の成果・効果
疑似体験を入れながら、ディスレクシアについてわかりやすく教えていただいた。ご自身や、お子さんのエピソードや、関わってきたディスレクシアの方たちの生き方を例にしながら、実体験に基づく話は説得力があった。
アンケートより
- ディスレクシアという障害がどのようなものなのか体験しながら理解することができました。
- ディスレクシアのメカニズムから学び方を変えたことによる事例まで具体的に教えていただけてよかったです。明日からの教育に生かしていきたいと思います。
- 藤堂先生の明るい前向きの話し方に子どもの将来に対する不安に思っていたことが少し楽しみに変わっていきました。
- 読み書きはできなくても不幸にならない!という言葉が印象的であった。発達障害が認識されてきた最近、できる能力を伸ばしていくそういった教育や療育が求められている。その中でディスレクシアの合理的配慮や学習補充など教師の側でも認識と理解を求める必要がある。
- 学校現場では一人一人にあった配慮をしてもらえていないのが現状であり、特に読み書き困難のお子さんに至ってはなおのことです。もっと理解を深めてその子にあった支援が必要だと改めて感じました。
今後の課題と問題点
2020年に岡山市で「ワールドディスレクシアフォーラム2020」が開催されることを受けて、ディスレクシアについて広く知っていただくことを目的に今回の講演会を企画した。発達障害という言葉はかなり定着してきており、学校や社会でも少しずつ支援が広がってきている。しかし、発達障害のひとつである「学習障害」その中でも読み書きの困難については、教育現場でも理解が進んでおらず、「練習が足りないからだ。」「やる気がないからだ。」という心ない言葉に傷つく子どもたちは、まだまだ多い。また、医療機関で学習障害やディスレクシアなどの診断が出ても、誰が、どこでどのような教育、支援をしていくのか、ノウハウの蓄積はまだない。お話の中で挙げられた「理想の学校」を目指して、ひとりひとりに合った教育ができる学校づくりを教育行政、関係機関と連携しながら考えていきたい。