まちなかのふるさと教育
代表者:上林栄一 所在地:岡山市 助成年度:2016年度 教育活動助成
実践活動のねらいと期待する成果
(1)ねらい
岡山市唯一の市立高等学校である本校では、まちなかの地域資源を生かした社会的・地域的課題を題材としたアクティブラーニングの視点に立った課題研究や、多様な経験や技術を持つ地域の人材・企業などの協力による地域学習などを推進することにより、岡山市の抱える地域課題をともに考え、持続可能な社会の形成者の育成をしたいと考えている。現状では、地元である岡山市の文化や歴史、岡山市が抱える問題などに関心をもっていない生徒も多い。
そこで、岡山市役所や本校周辺にある、文化施設・教育施設・観光施設・商業施設・地元企業などと連携し、地域活動に取り組むことで、岡山市について理解を深め、それを基に岡山市の抱える課題を見つけ解決の方法を考え、岡山市をより良くするための提案を行うなどの活動をすることで、「ふるさと岡山市」における次世代の地域創生の基盤をつくりたいと考えた。
(2)期待した成果
①岡山市の抱える地域課題を共に考え、持続可能な社会の形成者を育成できる。
②地域を活動の場とすることで、地域の現状を知り、問題解決の糸口を見つけることができる。
③地域の方や仲間と協働的に活動することでコミュニケーション能力、情報収集能力・情報活用能力が向上する。
④課題を解決するための論理的思考力、判断力、表現力を身に付けることができる。
実践活動の内容と方法
(1)地域活動モデルの開発と実施①フィールドワーク研修会及び地域連携活動
会場奉還町商店街・岡山駅前商店街・ドレミのまち・岡ビル商店街
実施日平成28年6月15日・6月29日・7月6日
対象者本校1年次全生徒
指導者岡山大学地域総合研究センター准教授
前田芳男先生
内容
6月15日 フィールドワーク調査の実施方法の研修及び商店街などでの調査(聞き取り調査・土地利用調査・人の流れ調査)の実施
6月29日 調査結果をまとめ、報告会で報告するポスターの作成
7月6日 ポスターを使って発表
②岡山市政の現状や課題を理解し、解決策を提案する活動
会場岡山後楽館高等学校
実施日平成28年10月19日・10月26日・11月2日
対象者本校1年次全生徒
内容
10月19日 岡山市の職員による現状や課題についての講義(7テーマ)
・魅力的な商店街の振興・賑わいにつながる回遊性の向上産業振興・雇用促進課市村晋様
・自転車先進都市の推進
交通政策課今井洋孫様
・スポーツを通したまちの活性化と一体感の醸成スポーツ振興課藤井健介様
・子どもが安全で健やかに育つことができる環境づくり保育・幼児教育課山内徳子様
・国際交流の促進とグローバル人材の育成
友好交流サロン江見優子様
・防災について危機管理室谷合守様
・地球温暖化対策環境保全課出井要様
10月26日岡山市の課題を発見し、解決策を考えるためのワークショップおよびポスター作成
11月2日 ポスターを使って発表
③活動の特徴や工夫
上記の2つの活動は、今年度本校が初めて実施したものである。大学や岡山市職員など外部の指導者と連携して、岡山市について理解を深めることを目的としている。さらに、岡山市の抱える課題を見つけ解決の方法を考え、岡山市をより良くするための提案を行うなどの活動も取り入れた。
(2)プレゼンテーション研修会
会場岡山後楽館高等学校
実施日平成28年8月29日
参加者1年次生2名・2年次生8名・3年次生9名・教員5名
指導者中部大学教授井上徳之先生
内容プレゼンテーション技法についての講義と、パソコンを使用し「分かりやすく説明する」「人に伝える」などのプレゼンテーションテクニックの研修
得られた成果及び評価
意識調査による効果の検証
地域の方や仲間と協働的に活動するという新たな取組を実施した本年度は、昨年度と比較してコミュニケーション能力、情報収集能力・情報活用能力の向上や、課題を解決するための論理的思考力、判断力、表現力を身に付けることができたと感じている生徒が増加した。教員も地域との連携や社会問題への取組については向上したが、取組をするための教員への教材提供や研修が不足している実態が明らかとなった。
今後の課題とその解決への展望
教員の意識調査の中で、教員の指導力を向上させる機会やしくみが必要という意見もあり、全教員が自信を持って楽しみながら取り組めるよう、次年度以降定期的に教員研修を実施したい。また、同様の取組を行っている他校との情報交換や外部の指導者の指導助言を受けながら、活動内容の改善を行いたい。