新学習指導要領推進のための授業のあり方

団体名:岡山県中学校教育研究会
代表者:正本巧也 所在地:岡山県 
助成年度:2016年度 教育活動助成
  • 〈社会科部会 全体会の様子〉
  • 〈英語部会 記念講演の様子〉
  • 〈数学部会 公開授業の様子〉

実践活動のねらいと期待する成果

(1)ねらい
本県中学校教育は、次期学習指導要領の実施に向け、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら「開かれた教育課程」を実現し、新しい時代に求められる子どもたちの資質・能力を育むことが求められている。これまで本県中学校教育が蓄積してきた学習指導や生徒指導等の「不易」を継承し、「流行」を検証しつつ改善発展することをねらいとした。
(2)期待した成果
中学校教育に関わる教職員が年齢層や学校間を越えて組織的に共同研究し、共有した知見を県下各中学校の教育実践活動にフィードバックすることで、本県生徒の中学校教育の充実が見込まれる。また、若年齢層の教職員と高年齢層の教職員が授業改善や教材開発等で研究チームをつくり、本研究会の多年に渡る研究結果を継承し改善発展させることで、次世代の本県中学校教育の充実を図る。この2点の推進により本県中学校生徒の確かな学力を向上や安定した生活基盤に基づく規範意識の醸成と健全な心身の発達につながることが期待できる。

実践活動の内容と方法

(1)本研究会について
本研究会は、昭和39年発足以来、51年にわたる研究の歴史と伝統を受け継ぎ、県内中学校159校、教職員会員3,749名(校長、副校長、教頭、教員、講師の一部)で組織され、県内16支部と、中学校教育に係る教科・領域の21部会で編成されている。各支部と部会は、県教育庁義務教育課、市町村教育委員会、教育センター、文部科学省、大学関係者等の指導・助言も受けながら研究推進体制を組織し、新学習指導要領に則った研究テーマや主題に沿って授業実践・評価と教材・教具の研究開発等を行った。研究・実践活動のまとめとして、①「研究のまとめ」を県下中学校及び教委・教育関係機関へ配布…200部②「中教研ニュースレター2016」を会員3749部、及び教委・教育関係機関等へ配布した。
(2)社会科部会について
研究主題:「生きる力を培い、未来を創る社会科学習
`自らの学びを見つめる学習活動〜」
①研究推進委員会5月〜11月計7回
岡山市内中学校、御津公民館、県教育センター
(参加者353名)
②第49回全国中学校社会科教育研究大会岡山大会
(参加者580名)
期日:平成28年11月17日、18日
[全体会]岡山コンベンションセンター
[公開授業・分科会]
地理的分野、歴史的分野、公民的分野
[記念講演]
苑閨F「社会科のこれまでとこれから
〜次期学習指導要領社会科を展望しつつ」
講師:国立教育政策研究所初等中等教育研究部長
大杉昭英氏
(3)英語部会について
研究主題:「4技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力の育成を図る指導の工夫と改善」
①研究推進部会及び研修会4月〜2月計10回
岡山大学、北ふれあいセンター、県生涯学習センター
玉野市立荘内中学校、ピュアリティまきび
(参加者275名)
②第24回岡山県中学校教育研究会英語部会研究大会(参加者250名)
期日・場所平成28年8月10日
岡山大学五十周年記念館
[全体会・公開授業]4技能統合PISA型活動による情報活用発信力の育成
[分科会]「CAN-DOリストを踏まえた系統的な言語活動のあり方」など4題
[記念講演]
苑閨F「技能統合型の活動で、思考力・判断力・表現力を高める指導の工夫」
u師:千代田区九段中等教育学校指導教諭
本田敏幸先生
(4)数学部会について
研究主題:「豊かな発想をめざし、
ゥら追究する算数・数学教育」
①研究推進運営研修会4月〜3月計9回
岡山市内中学校、ウェルポートなださき、
岡山南高校、岡山大学教師教育開発センター、
岡山国際交流センター(参加者167名)
②第49回中国・四国算数・数学教育研究大会
期日・場所平成28年11月10日・11日
[全体会]岡山コンベンションセンター
[分科会・公開授業・授業研究]
ェ山国際交流センター
[全体講演]
苑閨F「心にひびく算数・数学の世界へのいざない」
講師:サイエンスナビゲーター桜井進氏

得られた成果及び評価

(1)社会科部会
平成19年度赤磐大会から研究の中心を、社会科授業の「導入」「展開」に焦点をあててきたが、今回は「授業のまとめ・ふりかえりに注目して研究を進め、多岐にわたる実践発表や協議が行われ有意義であった。
(2)英語部会
「4技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力の育成を図る指導の工夫と改善」について、オールイングリッシュの授業や発信力を伸ばすトレーニングなど、様々な工夫を凝らした実践発表に触れることができた。
(3)数学部会
公開授業で、素晴らしい授業展開と生徒の頑張りにより「アクティブラーニング」の授業に触れることができた。日頃の指導の工夫について具体的な発表・提案があり活発な議論が交わされた。指導助言の先生から、テーマに沿った内容のみならず広い視野からの助言を得ることができた。

今後の課題とその解決への展望

(1)社会科部会
今回、単元ごとに作成された系統表を県内の各中学校社会科授業実践に生かしていくことである。そのために得られた成果を市町村単位の社会科担当教師の連携を一層すすめることで、社会科授業の質の向上が見込まれる。
(2)英語部会
4技能統合型の活動やCAN-DOリストの活用について、発想の転換ややり方の工夫を重ねることにより生徒の興味関心を引き出せることが示唆され、今後の授業実践で活用することを意識させられた。
(3)数学部会
中四国9県の数学担当教師が一堂に会することで、多面的な数学教科指導に触れ、授業改善の改善を一層すすめる必要がある。様々な研究・研修会に参加する機会を増やすことが解決につながると思われる。

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