大学と地域小・中学校との連携による「放課後等学力補充」 「基礎学力の定着と向上をめざして」 〜放課後等の活用から〜
代表者:芦田愛五 所在地:岡山県 助成年度:2015年度 教育活動助成
研究・実践活動のねらいと期待する成果
(1)ねらい
本会は、津山市教育委員会生涯学習課「学校地域本部事業」等と連携・協力しながら、小中学生を対象に学習習慣の定着、学習意欲の向上、生活習慣の見直しを図ることで学力向上につなげていくような取り組みを行う。地域の小中学校及び公民館が主体的に行う「放課後等学習」「学習・体験教室」の講座にスタッフとして本大学生を派遣提供し、県北地域の児童生徒の学力の向上に貢献することにある。学力低下、学習意欲の低下、生活習慣の乱れなど、この時代の大きな課題に対しての問題解決のきっかけとして地域を巻き込んだ取り組みをめざしたい。
(2)期待した成果
学区に住む地域住民の方々や、学校の教師よりも年齢的に近い若い学生による指導を通して、児童・生徒は日頃の教育課程に位置付けられた授業時間とは違った環境での学びが、学習意欲を向上させることに期待できる。また、貧困家庭等のために家庭学習時間の確保が困難であったり消極的学習姿勢の児童・生徒への学習サポートをすることで、学習習慣の形成を促進することが期待でき、学力の底上げにつなげられることをも期待できる。
研究・実践活動の内容と方法
岡山県では、子どもたちの学力向上のために「夢づくりプラン目標」H28.4全国学力調査小中学校10位を掲げてきたが、ここ県北の地でも小中学校では、児童・生徒の学力向上を目指して、放課後、長期休業日等における教育課程外の補充学習の様々な取り組みを展開している。また、同時に、公民館等においても、「子どもの居場所づくり」と「学習・体験教室」が行われるようになってきた。そして、これらは、「学力向上市町村プロジェクト事業」「放課後学習サポート事業」「学校支援地域本部事業」等の一環として行われているところなど様々である。
(1)小中学校への学習支援
そのような中で、大学生への学習支援の依頼があった6小・中学校(小学校2校、中学校3校へ美作大学児童学科の小学校教員養成コースの学生を中心に派遣し(7月〜3月)、放課後等の補充授業にあたってきた。
学生が学習支援に出向いた小・中学校は次の6校である。(紙面の都合で2校での支援内容のみを紹介)
①津山市立秀実小学校
②鏡野町立鏡野南小学校
木曜日放課後14:45〜17:00
3・4年生の算数(前半:3年生後半:4年生)
小学校の放課後指導担当の2人の先生が問題プリントを準備。児童は、準備されたプリンを各自で次々とやっていき、教員と3名の学生が机間指導しながら丁寧に分からないところを個別指導をする。
③津山市立北陵中学校
④津山市立鶴山中学校
⑤津山市立津山東中学校
2・3年生を対象にした数学の放課後学習を火曜日と金曜日に実施。基礎的内容と発展的・応用的内容の2コース。部活動を担当しない教職員が指導し、学生等の学習ボランティアが学習サポートに当たる。学生は、計算を中心とした基礎的な問題のコースを担当。
(2)公民館での子どもの居場所づくり、学習支援学習支援
公民館での「子どもの居場所づくり、学習支援学習支援等」のおける趣旨は以下のとおりである。
夏休みを利用し、地域の居場所づくり人間関係づくり、学力向上などを目的として、公民館を会場にし地域在住の退職教職員や美作大学学生などと協力しながら、小学生が誰でも参加できる宿題やプリント学習などによる学習支援の場を設定する。また、津山高等専門学校、津山工業高校等にも協力いただきながら、天文教室、工作等の体験教室も併せて開催する。学生が支援に出かけた公民館は次の6館である。
・河辺公民館・大崎公民館・城西公民館
・田邑公民館・二宮公民館・中央公民館
得られた成果及び評価
- 放課後や休日の学習にもかかわらず、多くの児童・生徒が積極的に参加し、やる気や達成感に繋がっている。「丁寧にに教えてもらってよく分かった」「来年もまた、教えてもらいたい」という声も多い。
- 教育支援にかかわる事が可能な教員OB等の人材発掘を積極的に行い、地域住民が公民館での「学習・体験教室」の支援者として参加するプログラムの充実に貢献できた。
- 昨年度までは、学生の学習支援は小中学校だけであったが、今年度は、津山市公民館館長会とも連携・協力することで、夏休み中の公民館での学習支援等にも多くの学生が参加し、昨年以上に地域住民との協働に大きく前進できた。
- 津山市教育協議会、津山市教育委員会主催の「学校支援ボランティア研修・交流会」で美作大学生による教育支援の実践・取組みについての発表の機会をもらい、美作大学が地域と連携・協力して「学びの提供」を行っていることがアピールできた。
残された課題と解決への展望
(1)放課後学習時間と学生の空き時間との調整
放課後学習の希望日時と学生の講義の空きコマがうまく合わず、希望にに添えないないこともある。
(2)学生の交通手段(乗用車所有の有無)
空きコマがあり、参加できる学生がいても、自家用車がなくて遠方の希望校まで行かれないこともある。(タクシーの活用も考慮)