「子守唄の里音楽祭」で親子の絆、地域の絆を深め、一体感・連帯感を醸成
代表者:河合俊道 所在地:井原市 設立年:1986年 メンバー数:26名 助成年度:2014年度 文化活動助成
目的
『ねんねこしゃっしゃりませ』で始まる「中国地方の子守唄」は、井原市高屋町出身の上野耐之氏(テノール歌手)が作曲の指導を受けたい希望で、外山国彦先生の紹介により昭和3年(春分の日)作曲家山田耕筰先生を訪れた際、母親から聞き覚えていた郷土の子守唄を聞いてもらったところ、山田先生がこの曲に非常に心をうたれ翌月4月に「中国地方の子守唄」として出版されたものである。
戦後は昭和23年から文部省検定教科書に採り入れられ、学習教材となり全国で歌われるようになった。
子守唄は祖先が残してくれた貴重な文化遺産であると同時に親から子へ祖父母から孫へと幸せな家庭愛を育む唄でもある。しかしながら、昨今の変化の激しい現代社会では、このような豊かな感性を育てる環境が次第に失われつつあることは、多くの方々の認めるところである。
そこで、「中国地方の子守唄」発祥の地である高屋町の各種団体が協力して、文化遺産の継承と共に、文化の香り高いまちづくり、心豊かなまちづくりの一環として、また子どもから高齢者までが一堂に集い、親子の絆、地域の絆を深め、一体感・連帯感を醸成するために子守唄の里音楽祭を開催している。
内容・経過
11月23日の音楽祭を開催に向けて、5月に実行委員会を開催し、地域団体で構成している下部組織である運営委員会(70名)を9月26日、10月14日、10月31日に開催した。
前日は会場である高屋中学校体育館にて、床にシートを敷いて、観覧席となる椅子を400席配置し、張り出し舞台を業者と一緒に設置等会場準備を運営委員会が中心になって行い、当日は午前中に出演者全員のリハーサルを行い、12時30分開場、13時に開演した。
音楽祭の内容は、高屋中学校吹奏楽部が4曲演奏を行い、高屋幼稚園が3曲、高屋小学校の5・6年生が3曲を合唱した。高屋小学校の最後の合唱曲は高屋町が発祥の地である「中国地方の子守唄」を合唱した。
第二部では、子守唄研究の第一人者である氏がひき語りアンサンブルとして育てたシンガーソングライターのグループ「アリエント」を迎え、全国の子守唄を中心に15曲のギター演奏や歌を来場者が堪能した。
成果・効果
井原市高屋町出身の声楽家、上野耐之先生が中国地方の子守唄を世に紹介され、母心を唄った日本の名曲として広く大衆に愛唱されていることは、高屋に住む者にとって誇りであり、このすばらしい名曲を高屋町の宝として、親から子へ、祖父母から孫へと、いついつまでも歌い継いでいくことを音楽祭の開催により再認識し、子守唄発祥の地として、井原線の「子守唄の里高屋駅」との調和をはかりながら、地域住民が一体となって英知を結集し、高屋まちづくりにかかる事業を推進する一助となった。
またプロの演奏家を招き、生演奏・生歌声を聴くことによって子どもから高齢者まで幅広い年代が一流の音楽に触れることができ、音楽の持つ魅力に触れるとても貴重な機会となった。
今後の課題と問題点
来場者が市内中心なので、幅広い地域から来場してもらえるように新聞、地域広報誌、インターネット等を活用して、音楽祭の広報、周知の仕方を工夫し、子守唄そのものの良さや「中国地方の子守唄」の継承、周知に努めていきたい。