復刻特殊器台&現代陶器展「原点回帰」備前の淵源より新たな陶を求めて

団体名:吉備特殊器台復刻プロジェクト実行委員会
代表者:松畑煕一 所在地:岡山市 設立年:2011年 メンバー数:21名
助成年度:2014年度 文化活動助成

目的

これまで吉備特殊器台の復刻という活動を2年間にわたり実施してまいりましたが、この度の催事企画はその最終章という位置づけになると考えています。参加した備前焼作家9人が遠い過去の文化である弥生土器の制作から得たあらゆる情報や感性を、これからの吉備文化の未来に生かすという意味で「過去の工人との会話を通じ現代作品へと昇華する」という手法により陶芸の新たな展開を実現することを目的としています。また併せて、ワークショップにおいては一般の県内外のアマチュアの参加を得て約30cmの高さのミニチュア器台制作を実施していただき、広くその存在の意味と認知度を高めることを目的としています。

内容・経過

平成26年6月本会年次総会を実施し活動の報告とこれからを話し合うとともに、展覧会実施を見据えて参加作家とのコンセプトに関する打合せを行う。7月会場の選定、瀬戸内市立美術館ギャラリーに絞る。10月参加作家による制作、焼成、撮影などの時間的なスケジュールについて打合せ会議を小山真吾氏宅に於いて実施。平成27年1月16日会場準備従来の備前焼の展示とは趣きを異にするインスタレーションを中心とした展示計画で実施。

■復刻吉備特殊器台&現代陶芸展「原点回帰」−備前の淵源より新たな陶を求めてー開催会期2015年1月17日(土)〜25日(日)会場瀬戸内市美術館ギャラリー3F
初日、午前11時より開会レセプションを約100名の来賓観客を迎えて実施し、その中で伊勢﨑淳相談役(備前焼人間国宝)による開会挨拶と制作担当(立坂型特殊器台、特殊壷)を代表して平川忠氏がギャラリートークを行った。(1月17日)
その後、ワークショップ「特殊器台をつくろう」をはじめ、会期中約500名以上の入館者でにぎわった。
■本展作品制作9/1〜1/16(各参加作家工房)
■ワークショップ「特殊器台をつくろう」実施1/18(日)瀬戸内市美術館ギャラリ−3F参加者:県内外より三十数名

成果・効果

これまでもこの復刻の活動を通じて文化財専門家も気づかぬ多くの発見が備前焼作家メンバーによって確認されてきましたが、今年度はさらに芸術の視点が加わってきています。古代の原始美術のインスピレーションを確実に感じた各作家が新たな作品に挑むことで新しい境地を拓いたのではと自負しています。また、この展覧会に訪れた複数の備前作家が「現在の備前焼の置かれた状況に常々懸念を抱いているが、この動きにおおいに刺激を受けた」ことを述べられてもおり、一定以上の関心とよい刺激を備前焼という伝統工芸の分野に与えることができたのではないでしょうか。また本年度の活動内容をHP、Facebook等で継続的に情報発信を実施、各メディアにも大きく取り上げられ、多くの方々に「特殊器台」を通じた吉備の歴史と現代にまで繋がる文化をお伝えできたと考えています。

今後の課題と問題点

再現復刻した特殊器台は現在1組を総社市の総社吉備路文化館にお預けし展示していただいています。また、その他の3組の器台と壷は岡山商科大学に一時的にお預かりいただき学生やその他の皆さんの眼に触れるよう展示していただいております。しかしながら、これらは一時的なもので恒常的な展示場所はまだ決定にいたってはおりません。
今後は県内各教育委員会を念頭に関係各機関にご相談しながら、市民県民はもとより観光などで岡山を訪れた他府県の方々が常時観覧でき岡山(吉備)の歴史の深さについておおいに関心をもっていただける状況を是非早い機会に作りたいと考えています。

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