中学生のいじめ防止プログラム(ワークショップ)の実施により、豊かな心の育成とコミュニケーション能力の向上

団体名:RE:プログラムいじめちょっとでもなくし隊
代表者:為清淑子 所在地:岡山市 
助成年度:2014年度 教育活動助成
  • ワークショップ板書
  • ワークショップの様子
  • (RE:プログラム パンフレット)

研究・実践活動のねらいと期待する効果

1ねらい
各学校、それぞれのクラスで大なり小なり「いじめ」はある。
従来からしつけ・教育で「いじめはしてはいけないこと」「やめよう!」と教えられ、分かっているはずなのに「しない」という行動の変容には、至っていない。また、それがいじめであることに気づいていないこともある。
子どもたちが少しでもいじめのないクラス・学校を自らがつくり、安心して学校生活を送ることができるように働きかけるいじめ予防教育プログラムの実施が必要で、「いじめ」をちょっとでもなくすことがねらいである。

2期待した成果
まず、自分の心の中に起きている感情(特に「怒り」)を自覚することから、語っていいこと自他を大切にする伝え方を学ぶ。自分の気持ちを人に伝えることは、自己肯定感を育むことにもなる。
次に暴力の起こる構図、連鎖のことを学ぶ。
クラスの中で起こっていることから、クラスの中で失うもの、今自分にできること、クラスでできることを具体的に考え、自分にも自分たちにもできることがあると知り、生徒一人ひとりの“力”をエンパワメントし、「生きる力」にしていく。
また、ファシリテーターとのやり取りの中で一人ひとり大切にされた体験から、自分を価値あるものと実感することで自尊感情が豊かになる。そして他者も大切にできる豊かな心の育成に繋がり、人とのコミュニケーション能力の向上、安心・安全な場として学校生活を送ることができるようになる。

研究・実践活動の内容と方法

1研修会
①5月25日(日)ワークショップ実践者対象
講師:李福美(survival13実行委員会)
受講4名
②7月2日(水)教職員研修
「1人ひとりの自己肯定感を育むための人権学習」
講師:北野真由美(survival13実行委員会)
14名参加

2ワークショップ
「RE:プログラムいじめちょっとでもなくしたい」
①6月27日(金)2年生2クラス43名参加、
②10月3日(金)1年生2クラス54名参加、
ファシリテーター:北野真由美(survival13実行委員会)サブ1名、補助2名

3フォローアップ授業
「自尊感情の育て方とわたしメッセージ」
①3月19日(木)2年生1クラス20名参加、
担任、補助1名

得られた成果及び評価

外部講師によるワークショップは、子どもたちにとって新鮮で、楽しい学びの時間となった。また、教員にとってもクラスを外から客観的に見ることで、日ごろ見ることのない子どもたちの姿も見ることもでき、有意義な時間となった。
人と違うことを恐れる子どもたちが多い中、図形描画(アクティビティ)で、世界に一つしかない自分の作品から「みんな一人ひとりちがうので、それでいいということがわかった」と人との違いを“宝”に、自分の存在を発見し、自己肯定することができた。
今まで自分の気持ちを隠したり、感じないようにしてきた子どもたちが、「自分の想いを口にしてもいい」と学び「伝えることは大切」と気づき、「怒りたい時は、怒ってもいいよ」「自分を大切に人も大切に」と自分の感情に向き合い大切に伝えることも学ぶことができた。
ワークショップの中の物語を聞きながら、いじめの起こっているクラスの一員になる場面では、一人ひとりが失うものは何か、クラスが失うものは何か、そして具体的に何ができるかを考え、仲間で共有した。そこから「自分でできることがわかった」と自分の中にある力や仲間の力を感じ信じることができた。さらに周りと繋がることの大切さを学ぶことができた。
今回のワークショップの感想から、「イラついた時の改善方法を試してみたい」等、「気づき」が「築き」に繋がり、「わかること」から「できること」への行動に変化していくものを実感することができた。

残された課題とその解決への展望

感想からは、「よくわかった」「わかった」が96%と手ごたえを感じることができたが、一方「いじめられている人を助けようとしても、まわりの人が、こわくて、できないと思う」「人が助けてくれるはずがない」という記述もあった。
このプログラムは、いじめ予防の種まきである。蒔かないと芽は出ない、蒔いただけでも育たない。見守り育て続けなければならない。大きないじめはないにしても「笑いのネタ」「失敗を笑う」「イジリ」などの軽微なサインを見逃してしまうといじめにつながり、蔓延してしまう。
そこには、軽微ないじめもゆるさないという教職員の揺るぎない姿勢と一人ひとりの人権を大切にする継続した授業の実施が必要になる。
教職員の研修と共に、このようないじめ防止のプログラムを積極的に活用実施し、子どもたちが安心して学校生活を送ることができるよう豊かな心の育成につなげていきたい。

PDFアイコンPDFで見る