グローバル社会を生き抜く子どもの 育成 〜 スカイプを使った国際交流・国際貢献 〜
代表者:西 弘子 所在地:岡山市 助成年度:2014年度 教育活動助成
研究・実践活動のねらいと期待する効果
1ねらい
世界にはたくさんの国があり、そこには、異なった人種、言語、習慣、文化、宗教等が存在する。子どもに関しても、世界には日本のように恵まれた環境で暮らす子どもたちだけでなく、貧困や飢餓などに直面している子どもたちもたくさんいる。しかし、その現実を本校の児童は、ほとんど知らない。
そこで、世界の国の様子を現地で暮らす人の言葉で直接子どもたちに語りかけてもらうことによって、子どもたちは、今の世界の現実や実態を知り、より広い世界観を持つことができると考えた。
そして、この学習を通して、これからのグローバル社会を生き抜く子どもたちの意識を育て、国際社会で生きる日本人としての基礎を養うことができると考え、本研究及び実践を行った。
2期待した成果
①外国との国際交流を通して、相手国の異文化を理解したり、尊重したりする態度が育成できる。
②青年海外協力隊の話を聞いたり、不要になった楽器等を外国に送ったりすることにより、開発途上国の生活や困難さを理解し、国際貢献の意識を養うことができる。
③国際社会に生きる日本人としての自覚をもち、相手の立場を尊重しつつ自分の考えや意見を表現できる基礎的な力を身につけることができる。
研究・実践活動の内容と方法
1オーストラリアとの英語学習交流
岡山県は平成5年から南オーストラリア州と友好提携に関する協定が締結され、活発な交流が行われてきた。その縁もあり、本校は、南オーストラリア州アデレイド市にあるコロマンデルヴァリー小学校とスカイプによる語学交流を行った。
オーストラリアは英語を話す国であるが、コロマンデルヴァリー小学校の児童は、日本語を学習している。しかも、オーストラリアと日本の時差は約1時間。お互いの授業時間が容易に調整できたことも幸いして交流が始まった。
本校は6年生16名。相手校は4、5年生24名。本校の児童は英語で話し、相手校の児童は日本語で話すという学習形態による英語の語学交流である。5月30日に始めたスカイプによる交流も合計4回行うことができた。
2JICA・派遣教員による国際理解教育出前講座
①ワークショップ「もし世界が100人の村だったら」
JICA岡山大井聡美さん
10月14日全校児童65人(道徳)
②ネパールを知ろう
JICA中塚直希さん西梨月さん
2月13日4年生10名(総合)
③マレーシアを知ろう
JICA今川俊彦さん
2月24日3年生8名(総合)
④ドイツを知ろう
元派遣教員瀬川尚美さん
3月2日6年生16名(社会)
3世界を知ろう〜4カ国とのスカイプ学習〜
「岡山市の小さな小学校からでも全世界と繋がることができる」このテーマを具体的な授業の中で実践した。実践にあたって、JICA岡山と連携した結果、本校の取組に賛同してくださる岡山県出身の4カ国の青年海外協力隊の方々から好意的な連絡があり、交流を進めることができた。
なお、本校は、3年生以上の学年を対象に、総合的な学習の授業に位置づけ実践を行った。
【交流一覧表】
学年/交流相手国/協力者/実施日
3年/マレーシア/今川俊彦/12/17
4年/ネパール/中塚直希/12/8、12/15
5年/マラウイ/角田直也/1/22、2/27
6年/エルサルバドル/中西縁/1/20
4「世界の笑顔のために」プログラムに参加〜子どもたちにできる国際貢献〜
「世界の笑顔のために」プログラムとは、JICAが主催し、開発途上国で必要とされる物品を世界各地へ届けるプログラムである。
本校も昨年度、児童会が中心となって、学校で使わなくなった鍵盤ハーモニカ30台をスリランカに届けた。今年度も6年生が中心となって、鍵盤ハーモニカ15台と書道セットをメッセージカードと共に送り、子どもたちなりの国際貢献が実施できた。
得られた成果及び評価
グローバルな視点に立ち、物事を正しく認識し判断する子どもの育成は、今日的課題である。
私たちは、本主題をスカイプというツールを使って実践を試み、下記の3点にその成果が見られた。
①スカイプを活用して学習することは、リアルタイムで相手の顔を見たり、声を聞いたりして相互に会話ができる良さがある。子どもたちは、聞いたことのない言語に触れることや現地の人の姿、生活の様子、日本との違いなど様々なことに驚きと感動を示すことができた。
②協力隊の説明により、開発途上国への理解が深まり、国際貢献に対する心情が深まった。
③「時差」という概念を身近に感じることができただけでなく、授業時間に、世界のほとんどの国とスカイプで繋がって学習することが可能であると認識できた。
例えば、6年生の学習日本時間1校時(9:00〜)中米「エルサルバドル」(18:00〜)
5年生の学習日本時間5校時(14:00〜)東アフリカ「マラウイ」(7:00〜)
残された課題とその解決への展望
スカイプを活用して学習する課題は、大きく二つある。第1は、開発途上国は、日本のように簡単にインターネットに繋がらないことを理解する必要がある。第2は、担当者と協力者の連携、調整、そして意欲ではなかろうか。この点を考慮して実践すれば極めて有効な学習ツールとなるであろう。