第17回戦争遺跡保存全国シンポジウム・岡山県倉敷大会を開催
代表者:立石 憲利 所在地:倉敷市 設立年:1988年 メンバー数:153名 助成年度:2013年度 文化活動助成
目的
岡山県倉敷市の水島コンビナートのすぐ北側にある亀島山には、全長約2キロメートルのトンネルが掘られている。アジア・太平洋戦争初期に建設された三菱重工業水島航空機製作所(現:三菱自工)が空襲を避けるために作った疎開地下工場である。この「亀島山地下工場」は、現在も当時の構造をほとんどそのまま留めている。なかに入ると戦時期にタイムスリップしたような緊迫感に包まれ、戦争をイメージし平和の大切さを実感できる県内最大級の戦争遺跡・近代の文化遺産である。当会では「亀島山地下工場」を平和・歴史教育に、また地域づくりに役立てる活動を1988年以来行ってきた。
「戦争遺跡の大切さを地域・日本・世界から考える」をテーマに全国シンポジウムを水島地域で開催する目的は、次のとおりである。
①「亀島山地下工場」の存在を全国に、世界に発信する。
②地域の人たちや多くの市民が全国の戦争遺跡の保存・活用の状況を学習して「亀島山地下工場」が全国的にも大切な文化遺産であり、地域の活性化にたいへん有効な文化的資源であることを再確認し、新たな特徴をもつ地域づくりに大きな弾みをつける。
③記念講演にドイツから講師を招くことで、世界的な視野からも戦争遺跡の大切さを学習する。
内容・経過
開催期間は平成25年8月17日〜19日(延参加者数480名)
▽17日:セレモニー「戦争と民話」、記念講演「ドイツの戦争遺跡—犠牲者に想いを馳せて」、基調報告「戦争遺跡保存の現状と課題2013」、地域報告「亀島山地下工場の保存と活用をめざして」など。約300名が参加。
▽18日:3つの分科会「保存運動の現状と課題」「調査の方法と整備技術」「平和博物館と次世代への継承」で21題が報告された。約100名が参加。
▽19日:現地見学会;水島航空機製作所関連遺跡(倉敷)と第17師団跡(岡山)。約80名が参加。
成果・効果
- 全国の人たちに、「亀島山地下工場」をはじめ、水島航空機製作所建設時に整備された水島市街地全域が、近代の文化遺産であることを知らせることができた。
- 多くの倉敷市民や水島地域の人たちが、全国の戦争遺跡の保存・活用の実態を学習することができた。またドイツから講師を招いて行った記念講演によって、日本と類似点の多いドイツの戦争遺跡の活用状況を知ることができた。
- 水島地域にある戦争遺跡が、近代の文化遺産であり、平和教育・歴史教育に活用でき、倉敷の新しい観光拠点にもなりうることを、多くの倉敷市民や水島地域の人たちに知ってもらうことができた。
- 各種メディアで大きく取り上げられ、全国的・世界的視野から水島地域の戦争遺跡の大切さがわかり、その活用に確信を持てるようになった。
- 水島地域の活性化を目指す複数の地域団体等と実行委員会形式で開催したため、地域の人たちが企画段階から参加し、会期中は聞きに来るだけでなく、運営に主体的に取り組むことで、戦争遺跡保存に関わる全国の人たちの熱意を感じ取ることができた。
今後の課題と問題点
実行委員会やシンポに参加した地域の人たちの多くは、全国的・世界的視野から水島地域の戦争遺跡の大切さを再認識できたと思う。今後、その人たちをオピニオン・リーダーとして、さらに多くの人たちにその大切さを理解してもらう活動を継続して行う必要がある。