ミュージカルファンタジー金田一耕助が生まれるまで「横溝正史ものがたり」の上演
代表者:大熊 正喜 所在地:倉敷市 設立年:2000年 メンバー数:50名 助成年度:2013年度 文化活動助成
目的
マービーミュージカルin倉敷の第11回公演として、横溝正史が戦時中、倉敷市真備町に疎開し、岡山県内各地で取材した中から推理小説の名作「金田一耕助シリーズ」を生みだした物語をオリジナルの脚本、音楽、ダンスで描き、市民参加のミュージカルを地域文化の中に定着する。
内容・経過
横溝正史一家の疎開生活の中での村人との交流とそこから名探偵金田一耕助の人物像が生まれてきた経緯を、紗幕の向こう台上で展開される劇中劇も組み込んで、巧みな構成で描き好評を得た。
脚本演出は初挑戦の日名真由美、音楽は10年以上このミュージカルに楽曲を提供し続けている多田敏恵に加え、新たに中原みづきが若い感覚のオリジナル曲を提供。ダンスには山陽女子高校でミュージカルを学ぶ高校生が特別出演し後輩の小学6年の生徒達にも刺激を与えた。舞台・音響・照明は外注したが、10年来の伝統を引き継ぎ、出演者はもちろん、衣装や小道具つくり、宣伝広告や当日の大道具係・メイク担当・会場整理係など、舞台を支える様々な所に地元真備を中心とした子どもから高齢者まで幅広い世代の参加を得て市民参加の手作りの舞台芸術として仕上げた。
練習は、25年6月から週1回開始。9月中旬からは週2回とし、12月から本番の舞台を使った立ち稽古。26年1月に入り通し稽古を重ねてきた。最初はキャストが集まらず苦労したが、倉敷市主催の「1000人の金田一耕助」イベントでエキストラ募集のチラシを配り、新聞各紙にも取り上げていただいたおかげで、倉敷市の別の地区での創作舞台育成事業で舞台に立った演劇好きのメンバーや地元の金田一ファンの中高年グループが参加。小学6年生から80歳の元気高齢者まで総勢28名の多彩なキャストの顔ぶれとなった。来場者は約500名。
成果・効果
私共の団体は、倉敷市真備町の地域文化交流の拠点であるマービーふれあいセンターにおいて10年以上の活動の歴史を持っている。平成23年度は倉敷市の創造舞台育成事業として真備地区の住民団体で実行委員会を組織し、子どもから高齢者まで幅広い世代の参加する市民ミュージカル「きびのまきび」を第10回公演として上演。その後、これまで10数年間、本会の中心で活躍してきたメンバーが後進に道を譲ることとなり、平成24年度は新しい中心メンバーのもとに基礎練習のみ継続しながら、次の本公演の構想を練ってきた。
今回、第11回公演を新しいメンバーを中心に実施したことで、この地域文化発信の一翼を担う歴史ある団体が、先達の事業を継承し次の10年に向けて曲がりなりにも歩み出すことができた。
今後の課題と問題点
しかしながら、新しい中心メンバーはこれまでと違い地元に豊富な人脈もなく、また、それぞれが仕事を持ちながらの活動で、キャストの募集、地元事業所の広告協賛募集、チケットの販売など、人脈力・組織力が不足し、前回のような1000人のホールを満席にする観客動員もできなかった。
また、ミュージカルというジャンルではあるが、今回はこれまでに比べて楽曲数が少なく、歌や踊りの部分を楽しみに来られた観客に不満を残した。