グローバル人材の育成

団体名:岡山県立岡山城東高等学校 グローバル人材育成プロジェクト実行委員会
代表者:石井一郎 所在地:岡山市 
助成年度:2013年度 教育活動助成
  • 慶南外国語高校との交流の様子
  • 国際教養学類の発表資料から
  • SMK(P)SRIAMANヌルー校長と石井校長

研究・実践活動のねらいと期待する効果

1ねらい
本校では、平成23年度から「ステージは『世界』だ!」と銘打ちグローバル人材育成の取組を推進しており、その中で、通常の「修学旅行」とは異なる「学類研修」の開発を進めている。平成24年度の韓国高校試行訪問を受け、平成25年度は国際教養学類が「金海外国語高校」「慶南外国語高校」との学習交流を、音楽学類が「德園藝術高校」との学習交流と演奏交流を本格的に実施した。継続的に相互交流を発展・充実させるため、双方の高校生にとって効果的で知的好奇心を高める研修プログラムの構築が必要である。
また、人文社会学類と理数学類の学類研修に海外コースが設定されていないことから、マレーシアコースの開発を行った。

2期待した成果
「学類研修」での学習交流や演奏交流をとおして、生徒の語学力(英語力)・異文化理解力・課題解決力の向上とともに、グローバル社会で活躍できる「城東生」の育成。

研究・実践活動の内容と方法

1学類研修
①国際教養学類
慶南外国語高校には平成25年6月23日(日)に23名が訪問し、寮に宿泊した後、翌24日(月)に学習交流を実施した。寮はわざわざ部屋を移動して調整してくれていたようで、生徒からは、寮泊が一番楽しかったとの声が多数あった。学習交流は教室の後列で、授業に同席する形態であった。
金海外国語高校には平成25年7月16日(火)に23名が訪問し、韓国の生徒とともに参加する形態で学習交流を行った。いずれの学校でも、ネイティブの教師による授業は全て英語によって行われており、その発音は流暢で、レベルの高さに衝撃を受けた。
②音楽学類
德園藝術高校には平成25年7月16日(火)に28名が訪問し、学習交流、専門楽器ごとの公開レッスン、オーケストラとの合唱、合同演奏を行い、そのレベルの高さやスケールの大きさを体感した。また、同年代の音楽を目指す者が、何を考え、どのような姿勢で取り組んでいるのかを知り、大きな影響を受けた。
③共通事項
生徒は言葉の壁を感じながらも、コミュニケーション力の重要性や文化の違いを経験することができ、学類研修の目的を達成することが出来た。今後、授業への参加形態についての両校間での共通理解や、生徒間のディスカッションの時間を増やすことができれば、知的好奇心が更に高揚し、学習意欲の向上に繋がると考える。

2学類研修発表会
本年度から本格的に実施した学類研修を受け、その成果を2年次全体で共有し、学類を超えた知的好奇心の高揚を図るとともに、学類研修の情報を発信する場として、平成25年10月23日(水)に実施した。
学類研修の成果を学類の中だけに留めるのではなく、発表に向けた準備でそれを深め、発表により広く伝えるために各学類の発表者は10分間という限られた時間の中で、様々な工夫をし、わかりやすく伝えようとする姿勢が見られた。今後、効果的なプレゼンテーションの手法等について研修を行うことも考えたい。

3学類発表会
学類研修やそれに関連する学類コア科目等の学習成果を1・2年次全員で共有し、学類を超えた知的好奇心の高揚を図るとともに、次年度の各学類での学習に向けた1年次生の意識付けの場とすることを目的として、平成26年3月10日(月)に実施した。
新たな行事であったが、各学類の代表として発表する生徒は勿論、聞く側の生徒も真摯に取り組み、目的を概ね達成することが出来たと考えている。国際教養学類は探究型学習の成果を英語で発表し、音楽学類は和楽器と洋楽器がコラボレーションした演奏を披露するなど、各学類の特徴が明確に示された。今後は、プレゼンテーション力のレベルアップを図るとともに、保護者や地域、近隣の中学校等への情報発信の場としても充実を図りたい。

4学類研修マレーシアコースの視察
今年度、国内に設定されていた人文社会学類と理数学類の学類研修にも海外コースを設定するべく、検討を始めた。当初、研修先として幾つかの候補が挙げられたが、費用の面から東南アジアに絞り込み、治安や衛生面・政治体制の安定・各種インフラの整備状況等に加え、本校が望む研修が実施可能か等を検討した結果、研修先を「マレーシア」に決定した。
マレーシアコースでも国際教養学類や音楽学類と同様に、学習交流を主に企画し、幾つかの候補校から4校に絞り、平成26年3月2日(日)〜5日(水)の日程で視察を実施した。マレーシア教育省が海外の高校生等の受入について積極的に支援していることもあり、各校で具体的な交流内容についての打合せをすることが出来た。また、マラヤ大学も訪問し、体験学習の打合せを行うなど、有意義な視察となった。

得られた成果及び評価

グローバル社会で活躍できる人材の育成に努めるため、今年度は韓国の高校生との学習交流や演奏交流など相互交流を発展させるための取組を行ってきた。その中で、成果として次の2つを挙げることが出来る。
第1点は、知的好奇心が大いに刺激されたことである。学類研修の感想には、「韓国語を勉強したくなった。」「自分に足りないものが浮き彫りになった。」「世界で通用する英語力を身に付けたい。」などの前向きなものが多く見られ、以後の学習意欲が向上したようである。
第2点は、発表の場を多く設定したことである。学類研修発表会や学類発表会は代表者のみが発表を行ったが、その準備段階では、全員が体験や学習した内容を整理し、まとめ、資料を作成し、発表するというプロセスを経験している。このプロセスは学習内容の定着という点では非常に有効なものである。
また、成果の一つとして、平成25年12月に慶南外国語高校と友好交流協定を締結したことを付記しておく。

残された課題とその解決への展望

「ステージは『世界』だ!」の取組により、グローバル人材育成は着実に実績を積み上げている。今後は、開発・発展させてきた学類研修と学類コア科目等を合理的にリンクさせるプログラムの開発が課題である。さらには、各学類で培う専門性を深化させながら統合し、グローバルな課題の解決に向けた実践的なブログラムの開発に繋げたい。

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