そろばん文化の普及と算数の学力向上に向けた 指導者養成事業

団体名:日本珠算連盟岡山県連合会
代表者:岡下君子 所在地:岡山県 
助成年度:2013年度 教育活動助成
  • そろばん指導者養成講座(岡山講座)
  • ボランティアそろばん指導(石井小学校)
  • 塾教師がボランティア指導に行った 倉敷市立菅生小学校からの感想文集表紙

研究・実践活動のねらいと期待する効果

1ねらい
昨今の学力低下の要因の一つとして「そろばん」教育の衰退があると考えられる。従来の日本における義務教育の基礎は、「読み、書き、そろばん」であったが現状はいかがなものか。そこで我々そろばん教育に従事するものとして後継者である指導者の資質向上と指導者数の増加を目指した。

2期待した成果
指導者数の増加によって学習の場の一つである珠算塾の空白地帯解消と、「そろばんができる」だけではなく、そろばん学習を通じた学力の向上と日々の積み重ねや異学年同時学習による人格形成を図る指導ができるようにする。

研究・実践活動の内容と方法

1①日本珠算連盟岡山県連合会平成25年度そろばん指導者養成講座(倉敷講座)
・日時平成26年1月12日(日)10:00〜15:30
・会場倉敷商工会議所会議室
・講師岡山県立岡山東商業高等学校笠原典昭指導教諭、岡山県立倉敷商業高等学校渡辺賢一指導教諭、
岡山県立高梁城南高等学校難波祐子教諭
・受講者19名
・内容受講者に小学校教諭がいたことから小学校の学習指導要領をもとに、笠原指導教諭からそろばんの基礎、難波教諭から加減法、渡辺指導教諭から読み上げの講義を受けた。
②日本珠算連盟岡山県連合会平成25年度そろばん指導者養成講座
(岡山講座)
・日時平成26年2月16日(日)10:00〜15:30
・会場岡山商工会議所会議室
・講師岡山県立岡山東商業高等学校笠原典昭指導教諭、
岡山商工会議所浅井香織地域振興課長
・受講者6名
・内容笠原指導教諭からそろばんの基礎、加減法、読み上げ等の講義を受け、浅井課長から創業支援の説明を受けた。

2①小学校へのボランティアそろばん指導(岡山市)
・日時平成25年12月11日(水)10:55〜11:40
・会場岡山市立石井小学校
・講師岡山県立岡山東商業高等学校笠原典昭指導教諭他1名、
珠算部生徒4名、岡山珠算振興会会員2名
・対象3年A組(24名)、B組(24名)
・内容教材「たのしいそろばん」を使い、加算・減算を中心に指導を行った。
②小学校へのボランティアそろばん指導(倉敷市玉島)
・日時平成26年1月14日(火)〜17日(金)8:45〜9:30、9:40〜10:25
・会場倉敷市立玉島小学校
・講師岡山県立玉島商業高等学校薮井玲子教諭、珠算部生徒3名、玉島珠算振興会会員1名
・対象3年A組(34名)、B組(35名)
・内容教材「たのしいそろばん」を使い、加算・減算を中心に指導を行った。

得られた成果及び評価

1そろばん塾の空白地帯解消
①指導者の増加
塾が増加するためには、指導者数の増加と独立起業が必要である。そのためには、そろばんを習う子どもの数が増加しなければ成り立っていかない。早急な顕著な増加は難しい。
ア講習会に塾のアシスタント教師だけでなく、大学生の参加があった。講習内容に今後の独立開業に伴う経営面の講習もあり参考になった。また、小学校、高等学校の先生が参加したことは、啓蒙及び普及活動に関して学校現場に期待できる。
イ現場実習の場として、小学校での指導を行い、高等学校の生徒と先生の参加があった。生徒からは、「教えることの難しさ」「理解してもらう大変さ」「聴くことの大切さ」等の自らの姿に重ね合わせる声と「今後の人生の役に立つ」「そろばんを教えることも考えたい」等の声があった。先生からは、「様々な意味を込めて、基礎こそ全てであることを改めて知った」「高校生とのつまずきの原因もわかった」「今後も続けたい」等の声があった。今後も、小学校、高等学校との連携を続けていきたい。

2そろばんを通じた子ども達の学力向上と人格形成
①指導者の資質向上
そろばんの指導、特に塾での指導は全体指導の部分と個人指導の部分に分かれるが、技能については後者の場合が多く、指導者の資質向上は最重要である。保護者の協力を得ながらの指導は当然のことである。
ア最初の先生:就学前の子どもに与える影響が大きいことを自覚し、珠算の技術向上だけを追求するのではなく、小学校からの学習や家庭教育の一端をも担わなければならないことを確認できた。例えば、挨拶をきちんとすることがキャリア教育の始めであり、靴を揃えることが物事を確実に行うことに繋がり、鉛筆をきちんと持つことが日本文化の一つである箸をきちんと持つことに繋がり、人生の基盤として重要であることを再確認した。また、技能習得の過程においては、聴くこと、考えること、質問すること、教えることの重要性も確認できた。特に、「できれば良い」という考え方は、進歩の妨げになることを再確認した意味は大きい。
イ技能の伝承:日本の伝統文化であり、ほぼ完成された道具であるが、単純な道具ほどその使い方には難しい面があり、基礎である四則計算の方法については、指導者が信念を持ちながらも様々な方法を自らが習得していく必要性を確認できた。また、小学校学習指導要領の特に算数に関する事項を充分に考慮して指導していくことが重要であることを確認した。

残された課題とその解決への展望

1現場実習の継続指導と充実
①3〜4年生への展開:現状は3年生への指導も充分にはできていない。しかし、今回参加の小学校教員から4年生への指導に関する講習会の開催を依頼され、26年8月頃に開催する方向で準備を進めている。
②担当者:数的な増加と資質の向上を図るためにも、広報活動と講習会を継続実施する。

2講習会
①参加者:資質向上とネットワーク作りは、現場実習を継続して行うためにも大切であり、商工会議所を通してだけでなく「口コミ」等の草の根活動も展開していく。今回のように学校現場にも依頼をする。
②開催地:参加しやすさを考慮し、岡山・倉敷で開催したが、今後は他の地域での開催も考慮し参加者の増加を図る。

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