ユニバーサルデザインの推進による 援助集団の形成と学力向上

団体名:菅生小ユニバーサルデザイン研究会
代表者:長濱美根子 所在地:倉敷市 
助成年度:2013年度 教育活動助成

研究・実践活動のねらいと期待する効果

1ねらい
授業と学習環境のユニバーサルデザイン化を進めることで、互いに援助し合うことのできる学級集団を育て、学校全体の学力を向上させること。

2期待した成果
視覚的支援や聴覚的支援により、課題解決に向けて具体的なイメージがもてた児童は、学習効果が高まり、積極的に学習に参加できる。さらに、互いに考えを交流し合う場面を設定することで、他者を認め合える支持的風土のある援助集団として、協力しながら学力の定着や向上が図れること。

研究・実践活動の内容と方法

1研究会(授業公開)
「分かった!できた!を味わうことができる授業づくり〜特別支援教育の視点を取り入れて〜」
①9月26日(木)第6学年体育科:「キャッチバレーに挑戦」
授業者:古市桂太講師:岡山大学原祐一先生(参加者31名)
②10月25日(金)第4学年理科:「物の体積と力」
授業者:西村誠講師:倉敷市教育委員会吉原稔先生(参加者23名)
③1月22日(水)第2学年国語科:お話の人物と自分を比べて読もう「わたしはおねえさん」
授業者:西野舞子講師:比治山大学杉田郁代先生(参加者24名)

2調査及び研修会等
①7月中全学年対象岡山県総合教育センター作成「アセスメントシート」による実態調査
②8月16日(金)講話「授業と学習環境のユニバーサルデザイン化について」
講師:比治山大学杉田郁代先生(参加者24名)
③9月4日(水)講話「特別支援教育の視点を取り入れた体育科の授業について」
講師:岡山大学原祐一先生(参加者23名)
④9月25日(水)講話「道徳教育について」
講師:文部科学省元教科調査官横山利弘先生(参加者26名)
⑤11月15日(金)講話「アセスメントシート結果の考察」
講師:岡山県総合教育センター片岡一公先生(参加者24名)

得られた成果及び評価

  1. これまで本研究会が算数科を中心に培ってきた特別支援教育の視点を取り入れた成果を生かし、今年度は国語科・理科・体育科の3教科でユニバーサルデザイン化に基づいた授業や学習環境を探る研究を進めてきた。3回の研究会を核として年間を通して全教員が「特別支援教育に関する①〜⑤の視点」を入れた授業改善に取り組んできた。また、アセスメントシート(県総合教育センター作成)の実施により、聞き方や読み取り方など学習の基礎となる力を客観的に把握でき、個人や学級集団の特徴に応じて指導法を考えることができた。年度末の意識調査では「分かった、できた」「勉強って楽しい、おもしろい」と答えた児童が前年度に比べ2割程度増加している。
  2. 教科学習においては、体験を重視したりペア学習やグループ学習で他者との思考の交流を図ったりする手立てを積極的に講じてきた。体育科では、児童の実態に応じた「挑戦課題」の設定や立体ボード上の人型模型を使っての作戦会議、単元全体の流れやポイントを書いたホワイトボードの活用等を通して、児童相互が援助し合いながら意欲的に知識技能を高めようとする姿が見られた。また、理科や国語科の実践では、導入時の興味付けや追体験の工夫、板書とノートの一体化、掲示物やICT機器の活用等を通して、自分の考えを友達の考えと比べながら学ぶ態度が育ってきている。
  3. 年度初めの全国学力学習状況調査では、国語AB算数Bの問題で全国平均を上回るポイントが出ていたが、算数A問題に課題が残っていた。教科学習の研究に加え、生徒指導面からも教室環境の整備や挨拶・ルールの徹底に取り組みながら、自力解決力の育成や共感的な人間関係作りの研究を進めてきたことで、支持的風土の中で学習が進められるようになってきた。その結果、中学校区で行った基礎基本コンクール(都道府県名・漢字・計算)では、参加した4学級ともに上位の成績であり、基礎学力の定着が図れたと感じている。

残された課題とその解決への展望

  1. 低位の児童に対しての支援はある程度確立できたが、今後はスモールステップの支援から本当に必要とする支援にしぼりこむ必要がある。低位の児童だけにとどまらず理解の進んだ児童がさらに意欲的に学習に取り組むための支援の在り方について考えていかなければならない。
  2. 学力向上につなげていくために、教科学習では「個人思考→全体思考→個人思考」という流れが必要である。全体交流の後にもう一度ノートやワークシートで自分の考えと比較するよう指導法を工夫する。また、生徒指導面では今一度児童一人一人の生活習慣のチェックが必要である。
  3. 自分の思いや考えをもてるようになってはいるが、相手の思いを聞きながら、自分の思いを伝えようとする力は課題として残る。効果的なペア学習やグループ学習の進め方、児童同士の発信力を高める支援が必要である。今後は、伝える力の元になる語彙を増やすための読書や発表会等の機会を計画的に入れるなど、より良い援助集団となる方法を探っていきたい。

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