朗読劇「アンネ・フランクを知っていますか−ミープ・ヒースが伝えてくれたこと」公演の開催
代表者:白髭守也 所在地:岡山市 設立年:1989年 メンバー数:12名 助成年度:2012年度 文化活動助成
目的
被爆体験・戦争体験を朗読劇、構成劇で語りついできて約20年。昨年3月の天災・人災で失われた多くの命に祈りをささげる日々が続いているが、一方で、人間が起こした、現在も起こし続けている戦争という争いは、地球上からなくなったことがない。
終戦後67年となる本年は、第2次世界大戦下のオランダ、アムステルダムで、ユダヤ人として厳酷な状況におかれながら、みずみずしい感性と深い洞察力を持って15年の生涯を生きたアンネ・フランクにスポットをあて、どのような状況下でも精いっぱい真摯に生きること、命、愛、平和がどれほど尊いものかを伝えたい。
経過
これまでは主に日本人の戦争体験を伝えてきたが、今回は世界にも目を向けようと、アンネ・フランクに焦点を絞った。「アンネの日記」の舞台化に苦慮していた中、メンバーから、ミープ・ヒース著「思い出のアンネ・フランク」を紹介された。ミープは、アンネの父の会社で働いていた女性で、4歳のアンネに初めて会ってから一家と親しく交流し、自らの危険を冒してフランク一家の隠れ家生活を支えた。思春期のアンネのよき理解者であり、フランク一家が逮捕連行後、隠れ家で「アンネの日記」を見つけ、保管、戦後、ただ一人生き残ったフランク氏に手渡し、2010年に100歳で亡くなった。この著作で、当時のヨーロッパ情勢、ユダヤ人の過酷な状況、アンネ一家の人間性、特にアンネの感性、利発さ、洞察力、どれだけ真摯に命を見つめ平和を願っていたか、を知ることができ、ミープ・ヒースの深い愛情と勇気ある生き方が、命の尊さ・平和へのメッセージそのものと、この本をベースに、当時の世界情勢や劇も織り込んで脚本を作成。アンネのバラが咲く福山のホロコースト記念館研修も、アンネへの理解をより深めることができた。
スライド、音楽、照明は、この作品を表現する渾身のものに。ニューヨークの著作権所有会社との交渉では、上演権に関して手間取ったものの、設定されていなかったという奇跡もあった。
成果
8月11日(土)、天神山文化プラザホールにおいて朗読劇「アンネ・フランクを知っていますか−ミープ・ヒースが伝えてくれたこと」公演。入場者150名。
アンネ・フランクを知らない方が多くなった今、アンネと一家を支えた女性の存在をぜひ多くの方に伝えたくて、全中学校、高等学校に案内を出したが、反応は皆無に近かった。それでも、会場に足を運んでくれた小学生は、「アンネのことがよくわかり、よかった」、高校生は「感動した」「朗読にこんなに引き込まれるとは自分でもびっくり」と感想を寄せてくれた。また、「言葉の一つ一つが響いて、自分の中に絵を描くことができた」「朗読と劇とがうまく調和」「平和の素晴らしさを身にしみて感じた、感動した」「音響、音楽、照明がよかった」「ミープってすごい」「余計な演技などせずとも心を打つ表現ができるのですね」「自殺者の多い日本、どうしたらアンネのように前向きに生きることを考えられるようになれるのか」「一人一人の心を込めた朗読に圧倒され、感動した」「戦争の恐ろしさ、現在の生活のありがたさをもっともっと若者に伝えたい」「今日のような公演を若者に見てほしい」等の感想から、目的はクリアできたが、来場した高校生たちが、こういう舞台の存在をどこまで広めてくれるか成果に期待したい。
今後の課題と問題点
観客だけでなく、会も、若手につないでいく必要を感じている。メンバー募集!TV、ラジオ、新聞、タウン紙等に登場しても広報効果がない。どうしたら会場に来ていただけるのか、変わらず一番の課題。