吉野川護岸の巨大壁画を塗り替え、美作・湯郷地域のPR及びなでしこジャパンキャンプ地としての歓迎ムードの盛り上げに貢献した。
代表者:丸山健一 所在地:美作市 設立年:2010年 メンバー数:40名 助成年度:2011年度 文化活動助成
目的
美しく作ると書いて「美作」、「作」という字には、「ニンベン」があり、これは人を作るという意味もあります。「美作」という名前は、美しい人(心)を作ると読めるのです。この名前の資源を大切にして、まちも美しくなくてはなりませんが、住んでいる人々の心も美しい「美しく作るまち美作」を目指しています。先ずは過去に自分たちが作成した壁画を美しく再生させ、そのことによりボランティアによる協働のまちづくりや品格あるまちづくりを美作地域内外にアピールしたいと考えて始めました。
経過
清掃・塗り替えの対象となる壁画は、今から約20年前、平成2年〜6年まで4年間かけて、美作中学校の生徒が美術の時間や放課後を利用して作成したものです。作成当初は、新聞や各種報道機関も地域の話題として取り上げ、地域おこしイベントとして盛り上がり、壁画の管理もPTAの奉仕活動などを通じて維持管理が行われていました。その後、壁画を描いた世代の生徒が卒業すると、維持管理活動の規模も次第に収縮し、平成22年の春には、ペンキははがれ、雑草と苔、黒ずみにより、絵が描いてあることでかえって景観を阻害するといった状況にありました。そこで、20年前の中学生が30才を過ぎ、地域の活性化を考え、「美しく作る美作」を目指し、地域内外の同級生に呼びかけ平成22年4月から壁画再生に向け市役所等関係機関と協議を行い、日曜日等の休日を利用し現地を清掃、長年にわたって蓄積された草・苔・黒炭を除去してきました。
また卒業生や現役中学生に協力を呼びかけ、美作を離れている出身者の帰省にあわせ、お盆のシーズンにボランティアによる一斉塗り替えを行いました。塗り替え作業には約120人の卒業生・ボランティアが集まり、午前10時から午後1時頃まで河原で作業を楽しみました。この作業は真夏の炎天下のもと行われ、かなりきつい仕事になりましたが、そこには懐かしい顔があり、同級生同士が子どものころの懐かしい話をし、夜には同窓会が開かれるというふるさとを回帰する場面がそこかしこに見られました。その後も月に1度程度、会員により壁画ブロック面の清掃及び草抜き作業を行ってきた。平成23年度も同様に計画を立案、4月~8月まで清掃を行い、8月13日に塗り替えイベントを決行。その後も壁画表面の草取りを2ヶ月に1度程度行ってきました。平成24年3月24日、平成23年度決算報告及び総会を行いました。
成果
協働やボランティアへの理解が遅れがちな県北地域において、ボランティア作業のお手本となる事業だと思います。「ケガと弁当は自分持ち」を合い言葉に他のボランティアグループの模範となるような活動をしてきたつもりです。平成23年の夏はなでしこジャパンのW杯優勝で日本中が沸き、その直後に岡山県美作ラグビーサッカー場でなでしこジャパンのキャンプが行われるなど、(たまたま絵の題材も湯郷ベルの宮間・福元をモデルにしていた)偶然も作用し壁画への注目が大きく高まり、美しく作るまちの協働の精神の高さを全国に投げ掛けることができたと感じています。
今後の課題と問題点
今回の修復で計5枚の壁画が補修されました。平成2年〜5年まで4年間をかけ計6枚作成された壁画も残すところ未修復のものはあと1枚となりましたが、さっそくあと1枚の壁画のペンキ代の捻出に苦慮している状態です。先日、岡山県の協働事業提案に申請したが、県管理の河川内での事業などという理由で却下されたばかりです。
また、修復した壁画からも徐々に傷みが見えたり雑草が生い茂ったりと壁画を良い状態で保護するためには、今後ともボランティアによる現地作業とある程度の資金の調達が必要となってきます。今後とも各企業のCSR活動と連携したり負担金の徴収など自己資金の確保に努めなければなりません。