現代詩の裾野の広がりと地域への定着を図る

団体名:あかいわ現代詩を読む会
代表者:小倉庸代 所在地:赤磐市 設立年:2011年 メンバー数:19名
助成年度:2011年度 文化活動助成
  • 熊山英国庭園
  • 講座風景

目的

詩を読む、朗読する、書く、ゆかりの場所に出かけるなど、ピクニックに出かけるように現代詩を身近に楽しむことで、日々の生活からよろこびを発見し心身ともに充実した暮らしを実現する。生活に根ざした文化の向上を図る機会を持ち会員相互の親睦も深めていく。また、赤磐市民が地元出身の詩人永瀬清子を身近に感じる機会となることで、現代詩の裾野を広げると共に参加者が地元赤磐市に愛着を感じる場としていく。

経過

5月13日のオリエンテーションに始まり、5月17日には熊山英国庭園、7月8日には竜天天文台と赤磐市内の施設を見学し、会員相互の親睦を計りつつ、植物や天体を題材とした詩作品を読み、感想等を述べ合った。8月以降は、「暮らしの中から」「いのちを感じる」「詩の言葉」をテーマに、永瀬清子、石垣りん、山之口獏等の日本の詩人の作品に加え、李白、リルケ、エリュアール、タゴールの作品の訳詩も味わった。9月17日の公開講座においては、特別講師の山本純子氏の魅力的な講演・指導により一般参加者と共に朗読する「息」について学び、川崎洋「夜の天井」を課題に朗読レッスンを受け、朗読の楽しさの入り口に立つことができた。12月9日には、吉備路文学館にて正宗白鳥等に関する展示を見学した。1、2、3月の講座では、「詩を書く」をめざし「詩の言葉」「私の言葉」のテーマで、それぞれの近況報告を行った後、北原白秋、犬塚堯、茨木のり子、中山秋夫などの詩を読み、感想を述べ合い、朗読CDも鑑賞した。

成果

9月17日の公開講座では、講座参加者が息と声について熱心に学び、参加者全員が大変満足とのアンケート結果となった。朗読について勉強を続けたいという意欲的な声も出た。当講座の受講者が、毎年2月に赤磐市で行われている朗読会「永瀬清子の詩の世界」で、市民出演者として朗読した。毎回の講座で講師によって準備された詩については、受講者にとって初めて出会う詩人や作品もあり、新鮮な驚きを持って味わった。既知のものであっても、改めて読み、他の受講者の意見を聞くことにより、新たな意味を発見することもでき、現在の生活を見つめ直すきっかけとなった。講座も回を重ねると共に、参加者相互の親睦が深まった。講座の始まりはお互いの近況報告とし、日常、心情、感性を知り合える時間を持つことになった。実際に詩を書いた受講者も現れた。受講者を前に、自らのことを語りたいと思う受講者が「語る場」を持つことで、講座で学んだ「詩を書くことは、心を開いていく過程」の実践の時となり、「詩を書く」に一歩近づく芽を生み出すことができた。

今後の課題と問題点

「詩を読む」については、ほとんどの参加者に苦手意識が見られなかったが、「詩を書く」につながる「自分の思いを話す」についてはやや苦手と感じる参加者もあった。一方、英国庭園へ出かけた回では、植物に関する詩についての感想が活発に話し合われた。樹木に詳しい庭園ガーデナーの解説で園内を巡り樹木や花々を観賞した後であり、受講者の緊張がほぐれ、気持ちが温まっていたと考えられる。「詩を書く」も講座の目的の一つではあるが、参加者それぞれの好み、目的を尊重した講座内容を考え、温かい雰囲気作りにも留意し現代詩をより身近にしていくべきと考えた。

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