長唄・三味線の生演奏による囃子演奏会を開催し、技術向上及び地域の文化向上に貢献
代表者:望月太津友 所在地:岡山市 設立年:1987年 メンバー数:25名 助成年度:2011年度 文化活動助成
目的
ともすれば中央寄りになりがちな芸術文化を岡山を拠点に地方からの伝統文化発信として位置づける。そのために必要とされる会員相互の技術向上を図り、定期的な演奏会や時期に応じての記念演奏会を開催していくこと。また、現状維持だけではなく、現在ある親子教室をさらに充実発展させることも含め後進を育成し、幅広く理解と協力を要請していく。さらにその経過の中で広く一般の人たちの「囃子」を通しての日本文化への気付きや発見をうながしていき、地域の人たちの文化意識向上への貢献ができるようになること。
経過
プロの長唄、三味線演奏家を招いての生演奏による地方演奏は、囃子演奏には不可欠である。本物を会得し、内容を充実させる貴重な体験の場となった。また、プロの囃子演奏家との共演は熟練された受け継がれた芸を身近に体感でき、生きた芸を心身に感じる場ともなった。リハーサルでの音合わせから徐々に日常のテープでの練習とは異なった緊張感、迫力を味わい、本番における集中力、落ちつきなど養っていった。
成果
プロの演奏家と共に舞台を共有することで会員自身の気付きや芸への向上心を大いに高めることとなった。また、芸に対する姿勢や本物を真近に体感することで、その迫力や真の姿を知ることになり、大きな感動をもたらした。それはそのまま観客にも伝わり日本文化の囃子への理解を深めることにもつながったように思える。これは会を重ねるごとに観客動員数が増していることからでも証明できている。感想の中に地方にいながら、中央と同じレベルに近い囃子演奏を聞くことができたいへん感謝しているという声も多かった。
今後の課題と問題点
高い水準を求めて演奏活動するためにはプロの地方演奏家を招く必要があり、この経費が常に最大の問題点となる。岡山県下には現在プロの長唄・三味線演奏家はおられず、どうしても関西か東京より招聘しなければならない現状である。この経費の継続はかなりむずかしく、出演者からの会費、協賛者の募集などに委ねるしか方法がないため、その都度、会主自身の支出と会員一人一人の負担額となっている。この点が少しでも解消されれば、もっとより多くの人に会への参加を呼びかけることも可能であり、広く一般にも普及しやすくなるではないかと思える。一つの案としては、入場券の額を上げることも検討していこうと思っている。しかしながら、これだけでは問題解決にならず、今後の負担を少なくするために安易な妥協をすれば今まで培ってきたレベルを維持することがむずかしいばかりか、本物を知りつつその場しのぎの演奏活動になってしまう恐れがある。岡山にいても本物を目指し、また本物を提供するためには、何とか今の体制をくずさず維持していかなければならないと思っている。文化の世界遺産である囃子という分野の活動を岡山を拠点に発信し続ける努力を微力ながら今後も積み重ねるしかない。そして、囃子と真剣に取り組んでいる私たちの舞台を見てくださり、何かを考えるきっかけになっていただけたら、本当に嬉しいと思う。