おかやまご当地グルメ英語チャンツづくりとフルーツパフェ屋さん開催 〜あおぞらにサンサン輝け 英語の好きな子どもたち〜
代表者:江草 信子 所在地:岡山県 助成年度:2011年度 教育活動助成
研究の目的
あおぞら英語クラブは、平成21年から津島小学校区の特別支援の児童らで、毎週1時間程度英語活動をしてきた地域クラブです。23年度の新たなプロジェクトとして行わせていただいた本研究の目的は以下の4つです。
○コミュニケーション能力の向上:豊かな英語表現とコミュニケーション能力の育成をします。
○地域愛の育成と地元を題材にした特色ある教育:地域の特産品や食文化を学び、英語学習に取り組み、地域に対する愛着を深めます。
○地域・協力者の理解の醸成:地域の人に発表することで、支援の必要な子どもたちへの理解を深めます。
○職業体験:受付や販売、配膳などの流れを体験的に理解します。自ら考え、行動し、協力しておこないます。
研究の経過
岡山特産の果物をテーマにしたおかやまご当地グルメ英語の歌づくりを年間のテーマとして、産地訪問の後(図中①)、専門講師実習(図中②)、英語の歌づくり(図中③)、発表会(図中④)を開きました。年間を通して、専門家のアドバイスを受け、大学教員・大学院生・大学生が活動を支援してくれました。24年度は、⑤⑥の活動を加え、研究のさらなる発展を行います。
以下、23年度の実績を報告いたします。
①②産地訪問・料理指導果物王国岡山を体験した牧場や果樹園での実習
まず、安富牧場(岡山市北区)(写真右)並びに、世界のブドウ園(高梁市川上町)での体験学習とフルーツパフェ実習をしました(23年9月)。特に、教育ファームでもある安富牧場では、子どもたちは、牛の生育を観察、酪農家の牛乳のできるまでなどのお話に真剣に耳を傾けました。さらに、採れたての牛乳で作ったアイスクリームを使って、パフェづくりも実習しました。牧場とブドウ園で学んだ特産品の特徴や作り方をその都度、クイズ形式などにした英語のワークシートにまとめ、その後の英語の歌づくりやお店屋さん学習に役立てました。
③歌づくり岡山の特産果物の英語の歌とチャンツづくり
①②の実習を踏まえ、外国人講師とともに、英語の歌づくり(23年9〜11月)にチャレンジしました。歌は、岡山の果物を英語で紹介する“岡山フルーツソング(OkayamaFruitsSong)”と果物の色や形、旬など特徴を表したチャンツ(唱え歌)、フルーツパフェの作り方を紹介するチャンツの合計3曲です。同ソングは、岡山県内至る所に果物の産地があることが伝わるよう、子どもたちに人気の「楽しい牧場“OldMcDonaldhasafarm”」で替え歌を作りました。
岡山の特産果物のうち、桃、ブドウ、メロン、梨、イチヂク、イチゴ、柿の代表的な7種を選びました。子どもたちが英語で歌えるように、第1〜3週目に「岡山果物学習:果物の名前(name)や色(color)、形(shape)」、果物やパフェの絵を描きました。4〜6週目には、果物フルーツバスケット、果物クイズ(Whatユsonme?)、チャンツ練習を。7週目以降には、岡山フルーツソング&チャンツ練習。9週目以降には、フルーツパフェのお店屋さんのやり取り練習などしました。
学習では、リズムに合わせ、ジェスチャーを駆使し、リスニングによる口頭表現、絵カードやくり返し学習などし、支援の必要な子どもたちの学習成果が得やすいよう工夫しました。
④発表会英語の歌の発表やお店屋さんで交流を深める
歌の発表(写真右)兼お店屋さんの開催では、日ごろから子どもたちの育ちを見守っていただいている地域の人たちや学校関係者らを招くなどしました。外国人講師の軽快なギター演奏と子どもたちの歌声や演技に、聴衆も手拍子をしたり、一緒に口ずさんだりしていました。さらに、フルーツパフェ屋さんでも、英語でおもてなし体験をすることができ、地域の人の理解の輪を広げることができました。子どもたちの描いたユニフォームTシャツも華やかさを添えました。大震災の被災地を思い、メッセージボード作成や募金を集め、「ベネッセ募金」を通じて、被災地に全額届けました。
活動の成果
研究を通して、支援の必要な子どもたちが地元への愛着を深め、実際的な英語のコミュニケーション能力を育成することができました。これに加え、自己肯定感が高まり、自ら学ぶ積極性も見られるようになりました。
具体的には、以下の通りです。
○豊かなコミュニケーション能力の育成:色や形、果物など身近なものを題材に、体験的に、丁寧に英語学習を進めたため、挙手や発表も物おじせず、友だちの発表に耳を傾けるなどコミュニケーションの力が伸びました。また、「いかがですか(Wouldyoulike〜?)」「おいしい(yummy)」「取りだす(takeout)」「小さく切る(cutintopieces)」などの生きた英語表現も自然に言えるようになりました。実習先や発表会などを通し、周りの人との輪が広がり、特に、地域の人たちと絆が生まれたことは、大きな収穫でした。
○自己肯定感の高まり:活動を通し、子どもたちの表情が豊かになり、お互いを支え合う姿が見られるようになりました。岡山の産地を巡ったことで、「岡山が好きになった」という子どもたちも多くいました。発表会を仲間とともに、力を合わせて乗り切ったことで、自己肯定感が増し、その後の学習や生活面でも積極性が見られるようになりました。
今後の課題
今後の課題としては、子どもたちの英語力や表現力などの進展と豊かな人間形成、自己肯定感を高める外国語活動を引き続き模索する必要があります。地域への愛着や周りの理解、絆を一層深め、地域や社会に貢献するなど、他者への理解も促したいところです。
そこで、これまでの活動の成果や課題を考察し、活動を一過性のものに終わらせず、継続・発展させるために、これまでの産地訪問、調理実習、歌づくり、発表会に加え、以下の2点の活動を加えていきたいと思います。
○交流・普及(図中⑤):障がいの有無にかかわらず、様々な子どもたちや高齢者の方々と一緒に体験学習や地元を題材にした英語授業、英語図書の読み聞かせで交流・親交を深め、他者への理解を深めます。
○地域に向けた還元:25年度に、体験・実習・歌づくり事業の内容を小冊子等にまとめ、地域に還元する予定です。
これらの活動にお力を貸していただいた専門家のみなさまと、子どもたちを温かく見守っていただいた地域の皆さま、学区の教職員の皆さま、研究をお支えいただいた福武教育文化振興財団さま、すべてのかかわりのあった皆さまに、心から感謝しています。