読み聞かせボランティアの実践力向上と学校との連携
代表者:神崎ムツ子 所在地:津山市 助成年度:2011年度 教育活動助成
研究の目的
現在の子どもたちは、テレビゲームなどの映像文化にとっぷりつかり、読書やお話を聞いて想像力を養い空想をふくらませることが苦手になってきている。一宮小学校では、物語に関心をもたせ、子どもたちの読書力を高めたいということから、数年前より「読書ボランティア」を受け入れていた。児童数の急増に伴い、落ち着いた学習態度の育成が求められるようになり、私たちへ「見守り」も兼ねた「読み聞かせボランティア」の要請があった。
30名の会員が集まり、「一宮小学校読み聞かせボランティア」が発足した。会員の実践力向上を目的として学校との連携を図りながら研究活動を推進する。
研究の経過
1一宮小学校における読み聞かせ活動
対象学年:2年生3クラス日時:毎週火曜日(始業前10分間)
・当番会員(1クラス2〜3人)が読み聞かせを行い、当番以外の会員も各クラスに参加し、子どもたちと一緒になって読み聞かせを聞き、終了後、図書室に集まり反省会をした。
・男性を含む地区民生委員からもやりたいという声が出て、会員が増え、活動力アップにつながった。
・実施した読み聞かせ(大型・小型紙芝居、大型・小型絵本)の数…50冊
2会員資質向上のための講演会の実施
(1)演題:「読み聞かせの楽しみ」
講師:赤松百合子(めじろ文庫主宰)
日時:平成23年5月31日会場:一宮公民館参加者:55人
読み聞かせを実施する上での大切な心構えと有効な本の紹介が中心で、わたしたち読み聞かせボランティアにとって大変有意義な講演であった。
(2)演題:「学校へ足を運んでみませんか」
講師:芦田愛五(元一宮小学校校長)
日時:平成23年11月8日会場:一宮公民館参加者:53人
学校ボランティアの役割、意義についての内容で、会員の資質向上に役立った。
3学習会参加
(1)長谷川義史&現役小学校教諭による読み聞かせセミナー
日時:平成23年4月23日会場:ベルフォーレ津山会員の参加者:16人
第1部講師:長谷川義史(絵本作家)
絵を描きながらの歌のライブなど、楽しみながら、絵本や「読み聞かせ」について話を聞くことができた。自作の本を読まれたり、本にまつわるエピソードなどを聞くことができた。
第2部講師:甲本卓司(NPO法人岡山教師力向上支援サークル代表理事)
「なんで読書って大切なの?」の疑問に対して、文部科学省学力調査による「読書」と「学力」の相関関係報告をわかりやすく解説。子どもと本をつなぐことの重要性。また、社会的視野を広げるための新聞活用の必要性。読み聞かせ実施に直接役立つ内容であった。
(2)平成23年度「第1回学校支援ボランティア教育活動支援(読み聞かせボランティア)交流研修会」
日時:平成23年6月29日会場:津山市総合福祉会館3F中会議室会員の参加者:5人
内容:・研修選書のための取り組みと実践−Ⅱ「子どもと本の楽しい出会い」講師:矢野しをり
・交流(意見交換、質疑、感想)
本と子どもの良い出会いについて知ると共に、他団体との交流ができ、視野を広げることができた。
(3)「子どもを育てる読書支援研修会」講師:小幡章子(元中学校司書)
日時:平成23年8月23日会場:津山市立図書館参加者:5人
子どもの成長に読み聞かせがどう関わっているかを再認識でき、取り組み意欲が増した。
4小学校との連携
(1)学期ごとの打ち合わせと反省
・校長、教務、学級担任(3名)を囲んで実施上の打ち合わせと実施後の反省をした。
(2)学校司書の先生との話し合い
・児童の読書傾向
・購入図書のアドバイス
(3)新入児入学説明会での読み聞かせ(H24.2.20)
・2クラス各5つの紙芝居
5絵本・紙芝居などの購入
大型紙芝居2冊、大型絵本5冊、絵本9冊、本1冊、パネルシアター1組
6地区の行事に参加
一宮地区「鵜の羽フェスティバル」への参加
・「食べられたやまんば」(大型紙芝居)
・作州弁での「猿神退治」(大型紙芝居)
研究の成果
当初は戸惑うことも多かったが、会員の読み聞かせ技能も大きく向上し、意欲的になり、活動内容が、大型紙芝居、大型絵本、パネルシアター、地区のフェスティバル参加などへも発展していった。また、当番以外の会員も各クラスに入ることにより、「見守り活動」ができ、子どもたちとの親近感が深まった。
学校からみた児童への効果として次のようなことを聞くことができた。
・子どもたちが毎週火曜日の「読み聞かせ」を楽しみにしている。
・話が始まるとスーと引き込まれ集中力もついてきた。
・国語の勉強に生かされ、作文能力の向上が見られた。
・読書嫌いの男児が週1回の図書の時間に「読み聞かせ」で出合った本を見つけ、それがきっかけで読書に興味を持つようになった等。
今後の課題
学校より、読み聞かせの成果が出てきているので、来年度からもう1学年増やして読み聞かせをして欲しいとの要請があり、喜んでいる。今後さらに各学年に合わせた読み聞かせの工夫を研究して資質の向上を図りたい。