『小野竹喬 日本画の技法と素材』の発刊
代表者:藤沢更司 所在地:笠岡市 設立年:1994年 メンバー数:270名 助成年度:2010年度 文化活動助成
目的
日本画家・小野竹喬(1889-1979)について学びを深めるため、平成21年に竹喬の遺族より寄贈された、日本画の描き方についての竹喬著述文を整理し、発行する。日本画は戦後、画材や表現方法が大きく変化しているため、戦前に記されたと考えられる竹喬の文章を通読することで、会員は伝統的な日本画の描き方について理解を深め、竹喬作品を鑑賞する際の一助とする。また資料を公開することによる竹喬研究の深まりを期待する。
経過
平成21年に小野家遺族より竹喬美術館へ資料の寄贈が行われたが未公開のままであった。友の会では、まずは文章の整理を行い、内容をまとめるにあたっては、日本画家の森山知己氏に依頼して、文中に見られる竹喬の制作の過程を検証していただいた。これらの過程は全員で見学することが難しいため、写真に記録して冊子にとりまとめ、2月に「小野竹喬日本画の技法と素材」として発行、全会員および関連施設へと配布した。あわせて森山氏には講座の開催を依頼して、2月26日、冊子にまとめられた内容に関する解説と、検証作業を通してわかったことについての報告を行っていただいた。
成果
小野竹喬による文字資料、森山知己氏による日本画入門講座、同じく森山氏による制作過程の検証をまとめた冊子「小野竹喬日本画の技法と素材」を発行した。その後、森山氏による講座を開講して冊子に書かれている内容についての勉強を深めた。今回公開された竹喬の著述は日本画の制作に関するものであったため、講座の内容も具体的な制作に関するものとなった。会員は日本画の制作過程についての意識を持つようになり、あわせて現在の日本画と竹喬が制作した当時の日本画との違いについて理解した。
今後の課題と問題点
会員の参加に関すること:今回の趣旨である小野竹喬の自筆文献公開について、とくにその検証作業の過程においては、全員参加で行いにくい点が当初から課題であった。今後、友の会でワークショップなどを開催し、冊子にまとめられている内容について、体験できるような場を設けたい。
講座に関すること:希望者多数のため、希望者全員が参加することができなかった。今後、会場の確保などにつとめたい。