倉敷の各時代の復元地図及び歴史遺産案内地図の作成と、その活用
代表者:成清仁士 所在地:倉敷市 設立年:2010年 メンバー数:10名 助成年度:2010年度 文化活動助成
目的
倉敷は歴史遺産がよく保存された都市として知られているが、一般にその歴史的変遷はあまり知られていないように思う。そこで、私たちは都市形成の歴史的な変遷を知ることができる古地図などの史料を用いて、現代の地図と重ね合わせてその変遷を確認することができる各時代の復元地図を作成することとした。そして、倉敷の歴史遺産をビジュアルでわかりやすく再確認し情報共有できるよう、復元地図を多様に活用していこうとする活動を行っている。
本活動は地元の方々に「元倉敷」と呼ばれている地区(旧倉敷村)を対象とし、受け継がれてきた歴史遺産を次の世代へよりよいかたちで継承していくための基盤づくりを目的とする。また、都市の歴史を振り返る作業が世代を超えた対話・交流のきっかけとなれば嬉しい。
経過
地域の生活文化の継承、育成と創造、及び景観の保全を目的として空家調査・改修などの活動を続けるNPO法人倉敷町家トラスト(代表・中村泰典)と、復元地図の作成を通した都市史研究を行っている成清との協働活動として、平成22年1月よりスタートした。今年度は倉敷の都市形成の歴史を扱った文献や古地図などに関する情報収集と史料収集から始め、それらがある程度集まった段階で復元地図の作成及びそれらの活用方法について検討した。平成23年1月には活動名称を「倉敷遺産地図情報化プロジェクト」とし、同年2月に住民の方々などを交えて活動報告を兼ねたまち歩きイベントを実施した。
成果
地図史料等の収集:36点(絵図、測量図、航空写真、都市計画図、その他地図などの歴史史料の複写を収集)
復元地図の作成:主には1710、1910、1947年。1966年都市計画図(倉敷市都市計画課所蔵)をCADソフトを用いてトレースし、現代の地図に合わせて修正、これをベースマップとして古地図等の地図情報を落とし込んで各復元地図を作成。
平成22年11月28日「古地図を持ってまち歩き〜元倉敷の変遷をたどる〜本町・東町編」(安田女子大学家政学部生活デザイン学科の学生14名が参加)
平成23年2月5日「古地図を持ってまち歩き−元倉敷の変遷をたどる−」(住民の方々など30名が参加)
今後の課題と問題点
地図情報の整理:今年度は古地図史料等の収集と復元地図の作成を行ったが、それらの吟味がなお不十分であり、アウトプットを見越して情報を整理する必要がある。
付加情報の蓄積:復元地図上に配置する歴史遺産の位置情報や古写真、過去の様子の証言などを収集・整理して蓄積していく必要がある。
復元地図の活用方法の更なる検討と公開準備:復元地図の活用方法として、現在のところ以下のようなことを想定している。
①元倉敷(旧倉敷村)周辺の歴史的な変遷を知る。
②復元地図や過去の航空写真を重ね合わせて対応関係を確認。バーチャル地球儀ソフトGoogleEarth(Google社が無償配布)上で空中散歩も。
③各時代の歴史遺産を復元地図上で整理。様々な情報のプラットフォームに。
④GPSを利用して歴史まち歩き。将来的には携帯端末での活用へ。
平成23年度はこれらの活用方法について検討を深めつつ情報を蓄積、公開の準備を進める。また平成23年度末には活動の中間報告として小冊子の発行を予定している。